ドイツと日本「テレワーク格差」が拡大したワケ 日本人は「出社したがり病」に見えている

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私が31年前から住んでいるドイツでは、いま「テレワーク革命」が進んでいる。この国では、パンデミック勃発以来、日本以上にテレワークが普及した。2020年春にコロナ禍が起こると、この国の多くの企業は、驚くべき速さでテレワークを拡大した。多くの経営者たちは「テレワーク中心の働き方への移行は、容易だった」と語っている。

ドイツのIT業界の団体が発表した推計によると、2020年12月の時点でオフィスにまったく行かずに、100%自宅で働いていた会社員の数は約1050万人。これは全体の約4分の1にあたる。1週間のうち数日テレワークを行っている人も含めると、約45%が少なくとも部分的に自宅で働いていたことになる。

これらの企業では、テレワークを拡大した後も業務には支障が出なかったようだ。それどころか、多くの社員たちが「オフィスで働く以上に生産性が向上した」と答えている。

日本人は「出社したがり病」?

2020年春のコロナ・パンデミック第1波の際に、ドイツの企業は日本企業よりもはるかに積極的にテレワークを実施した。

フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)とドイツ人事労務協会(DGFP)は、2020年5月に、500社の企業を対象としてテレワークに関するアンケートを行った。同年7月に公表された調査結果によると、「社員にテレワークを行わせている」と答えた企業の比率は、コロナ禍勃発前には32%だった。だがコロナ禍が始まって以降は、回答企業の70%が「すべての社員もしくは大半を自宅で働かせた」と答えた。

その後、2020年7~8月にベルリン商工会議所が約300社の企業経営者を対象に行った調査でも、「コロナ禍の勃発以来、テレワークを拡大した」と答えた回答企業の比率は65.8%にのぼった。

次ページ第1波のときには、ドイツ企業の6~7割がテレワークを行った
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