エアアジア、「捲土重来」に懸ける真の狙い 平成の"黒船"は真っ赤な機体でやってきた

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――三木谷さんはフェルナンデス氏と3年前から友人関係にあるということだが、今回、何が決め手で一緒に事業をやっていくことになったのか。

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楽天の三木谷会長兼社長

三木谷 エアアジア・ジャパンだけでなく、エアアジアグループとして、楽天との補完関係は非常に大きいことを強調したい。エアアジアはマレーシアから始まり、アジア全般に向けて展開するLCCとして、世界で最も高い評価を受けている。フェルナンデス氏のことは、アントレプレナーとして尊敬している。

――折しも日本ではパイロット不足が顕在化している。

小田切 国内で日本人のパイロットを確保するのは大きな問題になる。1年で準備するが、対象は(機材に使う)A320のライセンスを持っているパイロットになる。他社で乗っている人を中心にリクルートする。ただ、それだけでは機材計画に追いつかないので、自社でも養成に取り組む。一時的に日本人パイロットだけでは対応できないかもしれないので、エアアジアグループの中でのパイロットのやり繰りも併せて検討している。

フェルナンデス パイロットの確保はそんなに心配していない。優秀な人がいるし、なりたい人がたくさんいる。

――今回、日本の国内線への再参入となるが、フェルナンデスさんが日本にここまでこだわるワケを教えてほしい。

フェルナンデス 日本はすばらしい。私は日本の製品ばかり使ってきた。ウルトラマンにも親しんでいる。もっと多くの人たちに日本に来てほしい。日本からアジアに飛ぶのはエキサイティングで、決して簡単なことではないが、やってみなければわからない。

三木谷 補足すると、日本は観光資源がアジアで最も豊富。日本食だけでなく、名所があり、四季があり、何より安全。訪日外国人の目標も2000万人と言わず、3000万人、4000万人、5000万人という目標を掲げてもいい。そのために、安いエアラインを使って日本に来てもらうことは重要だと考えている。

――フェルナンデスさんは今年4月に来日した際に、三木谷氏とは「友人関係のままがいいかもしれない」と話していたが、今回はビジネスパートナーに選んだ。

フェルナンデス 3カ月前の段階では話せなかった。嘘をついていた。申し訳なかった。

枠が取れしだい、羽田に就航する

――羽田空港からの就航を狙っていくということだが、来年夏にそうなるのか。段階を踏んでからか。

小田切 初便就航時にスロットが確保できれば入りたいが、段階とか調整を経て、となるだろう。枠が取れしだい、就航する。東京に入るのは非常に大きいことだ。

――楽天にとって具体的なシナジー効果は。

三木谷 エアラインのビジネスというのは、人を単純に移動させるだけでなく、そこにはエンターテインメントや物販なども伴う。これはITとのシナジーがある。楽天トラベルや電子書籍のコボやeコマースなど(連携は)無限の可能性がある。ネット企業でエアラインに出資したのは、世界で楽天が初となる。空港や飛行機で長い時間を過ごすことを考えると、いろいろな連携が考えられる。

小田切 補足すると、ネットを通じて、いろいろと物品を販売するのも課題だと思っている。機内での販売とか。免税品の販売とか。

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