格安航空エアアジア、なぜ苦戦? 設立1年あまりで異例のトップ交代

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赤地のペイントに白抜きで社名をあしらった機体デザインを特徴とする、全日本空輸系の格安航空会社(LCC)、エアアジア・ジャパン(本社・千葉県成田市)。今年、国内・国際線の就航を始め、11月には成田-仁川(韓国・ソウル)線で限定の特別運賃980円の航空券を売り出し、大きな話題となった。

その新鋭がトップ交代に踏み切る。

エアアジア・ジャパンは12月17日、同日付で岩片和行代表取締役兼CEO(最高経営責任者)が代表権のない会長に退き、小田切義憲取締役オペレーション部門統括責任者が後任に就く人事を発表した。

国内・国際線の就航を始めたばかり

エアアジア・ジャパンは全日本空輸(67%出資)とマレーシアのエアアジア(33%)の合弁で昨年8月に会社を設立、今年8月に国内線、同10月に国際線の就航を開始したばかり。まだ産声を上げたばかりともいえ、経営が本格的に軌道に乗っているとは言えない状況でのトップ交代となる。当初10人でスタートした取締役の数も3人減らし、7人にする。

トップ交代で会見する小田切義憲氏(右)と岩片和行氏

「今はある意味で停滞感がある。次の成長のステップを確実にする」。同日、東京・霞ヶ関の国土交通省で会見した岩片氏は、トップ交代の理由についてこう語った。岩片氏は「会長という立場で地元の方々の対応や営業上のトップセールスなど対外的な業務に集中する」という。

異例ともいえるトップ交代。岩片氏は「直接的な理由ではない」と否定するものの、背景には経営の苦戦がありそうだ。

エアアジアの運賃はLCCの名にたがわず格安だ。たとえば10月から就航した成田-韓国・仁川(ソウル)線では、限定の980円を除いても、片道の価格は6980~2万9980円と、大手の運賃に比べ半額から3分の1程度の格安水準である。

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