28歳「岩谷麻優」が女子プロレスで掴んだ生き様 引きこもりでポンコツだった彼女が変われた訳

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当初、岩谷さんは女子プロレスというスポーツがあることすら知らなかった。

インターネットでプロレスの記事をいろいろあさって見ていると、元女子プロレスラーでスターダム初代GMの風香さんのコラムが載っていた。コラムの終わりには、

「新人募集しています。こちらまで」

と書かれていた。

これからできる新団体「スターダム」の新人募集記事だった。

「『これだ!!』と思ってすぐに連絡しました。それから毎日、風香さんと電話でやり取りしました」

当時、岩谷さんは働いていなかったので、無論収入はなかった。お年玉でもらったお金は、プロレスの入場曲のCDを買ったりして使って、残りは6000円だった。

「風香さんに『6000円で東京に行けますか?』って聞きました。ほとんど山口県から出たことがなかったから、運賃とかわからなかったんです」

風香さんは、

「6000円じゃ無理だね。ちょっと小川社長に相談してみます。顔写真送ってください」

と言って、電話を切った。風香さんは、当時スターダムの社長だったロッシー小川さんに伝えてくれた。

「2年間何もしなかったから筋肉もなくなってほぼ骨と皮。体重は43キロしかありませんでした。風香さんには、寝間着を着たまま自撮りをした、ひどい写真を送りました」

しかしなぜかその写真を見た社長は、

「この子は化ける。この子になら新幹線代を出そう」

と言い、岩谷さんにチケットを送った。

「いまだに、小川さんがなぜそう思ったのかは、全然わからないですね(笑)」

交通費はなんとかなったため、母親に女子プロレスをしたいと伝えた。

「あんたには無理だよ!! 今まで何も続けてこれなかったのに、何を考えてるの?」

と怒られた。当たり前の反応ではあろう。

祖父母を味方につけようと相談したが「ダメ!!」の一点張りで断られた。

「親に反対されている」

と風香さんに相談すると、風香さんは会社の概要をプリントして送ってくれ、かつ電話で母親に丁寧に説明してくれた。

「母は風香さんと電話のやり取りで、

『あんたみたいな得体の知れない人に娘を預けられるわけがないじゃないですか?』

と激高してました。これは絶対に賛成してもらえないな、ならば家出するしかないと心を決めました」

生まれて初めて新幹線に乗り家出

6000円と新幹線のチケットを小さいカバンに入れて、家を出た。

出かけに祖母には、

「ちょっと友達の家に遊びに行ってくる」

と伝えた。ずっと引きこもっていたのに「友達の家に遊びに行く」は不自然で、祖母には「あんた友達いるの?」と不審がられた。

生まれて初めて新幹線に乗った。

だが感動している余裕はなかった。

「祖母から母親に連絡がいったらしく、ずっと携帯電話に母親から着信がありました。怖すぎました。でもここで行かないと人生変わらない。また元に戻っちゃうと思って、ずっと震えながら我慢していました」

「プロレスラーになるぞ!!」

と意気揚々と上京したのではなく

「怖い怖い怖い」

とおびえながらの上京になった。

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