市況底打ちは本物か?東京オフィスの明と暗 「縦のライン」と「横のライン」で優勝劣敗がクッキリ

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虎ノ門ヒルズなど、新築のオフィスビルは活況を呈している(撮影:尾形文繁)

6月11日に開業した「虎ノ門ヒルズ」。その竣工記者会見で、開発を手掛けた森ビルの辻慎吾社長は意気揚々と語った。「ほぼ満室に近い状態でスタートを切れた。賃料もかなり高い水準で契約できている」。

東京のオフィス市場では、今年竣工した虎ノ門ヒルズや「京橋トラストタワー」など、大フロアや最新性能を備えた新築ビルが活況を呈している。不動産サービス大手のCBREがまとめた東京23区大規模オフィス調査によると、5月末のハイグレードビルの空室率は前月比0.2ポイント低下の3.7%と若干改善。1坪当たり平均賃料も同0.9%増の3万1200円に上向いた(下図)。

オフィス市況回復の足かせ

ただ、これらはリーマンショック前の水準には程遠い。駅から遠いなど競争力で劣るビルが、市況の足かせになっているためだ。

「縦のライン」と「横のライン」──。不動産業界の関係者は現在の東京オフィス市場の需要の濃淡を説明する際に、このような表現を使う。皇居周辺で見た場合、JR山手線に沿って南北に連なる秋葉原から大手町、丸の内、虎ノ門が、人気の高い「縦のライン」であり、総武線に沿って東西に続く神保町や飯田橋、市ケ谷という「横のライン」は、人気が劣る地域というわけだ。

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