ECBが政策を総動員、ドラギマジックの弊害

量的緩和への期待をつないだが懸念もある

]ECBのドラギ総裁。この先、ユーロ高進行や物価下落が続いた場合、奥の手はあるのか。© The Council of the European Union

ECB(欧州中央銀行)は事前に予想された金融緩和のメニューを総動員し、デフレ回避とユーロ安誘導への強い意志を示した。

6月5日のECB理事会でドラギ総裁は、利下げを含む五つの金融緩和パッケージを発表した。一つひとつの政策は小粒でゲームチェンジャーになるようなインパクトに欠けるが、大盤振る舞いすることでサプライズを演出した。

5日以後、金利は素直に反応し、短期金利も国債の金利も低下。為替はいったん上昇したが、年初来安値の1ユーロ=1.35ドルへ向けて低下している。ひとまずユーロ安方向への転換に成功した。政策の組み合わせで、相乗効果を高めようとしたこともうかがえる。

最も話題になった追加利下げに伴うマイナスの預金金利は、市中銀行が余剰資金をECBに預け入れると金利が徴収されるため、資金を貸し出しに振り向ける効果につながる、と説明されている。ただ実際には、効果も副作用も限定的だろう。これでECBに預けられていたおカネが貸し出しに回るとは考えにくく、銀行の収益を大幅に圧迫するほどの副作用もない。

金利を下げる効果はある。下限の預金金利の引き下げと伴わせて、主要政策金利と上限の貸出金利を引き下げた。これにより、銀行間金利(EONIA)を0.15%から0.05%程度に押し下げるとともに、上昇にキャップをかけることが期待できる。

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