ハリウッドから「中国が悪者」の映画が消えた訳 逆にどんどん増える「中国人が大活躍」の映画

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2009年のジョン・キューザック氏主演の近未来大作『2012』は、天変地異の大変動で地球が滅亡に向かうハルマゲドン映画だ。地球が滅亡する直前に、人は地球に存在する生物種(人間はじめ、動物、植物)を船に乗せて脱出させ、新たな世界で再び人類の文明を創るという現代版「ノアの方舟」がテーマだ。

物語は、天変地異により断末魔を迎えた地球から脱出する人々の過酷な戦いを描いている。脱出を図る人々が目指すのは、中国にある船の建造基地だ。最後の希望である人類の文明の再興は、チベットから出航する中国建造の船から始まる。人類の未来は中国が担っている。

また、2015年のマット・デイモン氏主演、大御所リドリー・スコット監督のSF映画『オデッセイ』では、火星での探査任務中、アクシデントが発生し、マット・デイモン氏演じる宇宙飛行士が、1人火星に取り残される。

取り残された彼が、どうやって生き延び、生還するかという話だが、火星に緊急の食料輸送をするロケットの打ち上げが次々と失敗するなか、ついにこれを成功させて軌道に乗せるのが中国国家航天局である。中国ほどの成功率をもってロケットを宇宙に飛ばせる国はない、ということか?

中国人が活躍する映画が増えたワケ

そして、2016年のエイミー・アダムスさんが主演するSF映画『メッセージ』は、評価も高い良品である。地球に次々と楕円形の巨大な浮遊体が降りてくる。その物体が、何ものなのか、どんな目的があるのか、なかに何かいるのか、何もわからない。ただ、そこに降り立って、じっととどまっているだけだ。

そこに、エイミー・アダムスさん演じる言語学者が、ある仮説をもってなぞ解きにかかる。しかし、いま一歩のところで十分なサポートが得られず、解明は遠のく。

異星人との開戦を目の前にして、人類への脅威が迫るなか、その脅威を取り除いたのは、中国の軍人である。

もはや中国が悪者である映画が、ハリウッドで創られることはない。逆に中国人が活躍する映画が、どんどん増えてきている。

中国が名目GDPで日本を抜いたのが2010年、名目GDPが世界の10%を超えたのが2011年である。第2次世界大戦以降、世界のGDPで10%以上のシェアを取った国は、アメリカと旧ソ連、日本、そして中国だけ。そして、いまはアメリカと中国だけだ。

次ページ興行面では映画大国の中国だが…
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