嵐「非エリート集団」が国民的支持を得た理由 活動休止発表後「ネット進出」加速、後輩に先鞭

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そんな嵐は、やがて国民的アイドルグループへと成長し、「Jr.黄金期」世代のフロントランナーとしての重要な役目を果たすことになった。

ジャニーズの路線には、大別すると舞台とテレビの2つがある。どちらも基本にあるのは歌とダンスだが、活動のフィールドとしては分かれている。元々ジャニーズ事務所が、アメリカをお手本にしつつ日本独自のオリジナルミュージカルの制作を目指していたのは、知る人ぞ知るところだ。その意味では、ジャニーズの原点にあるのは舞台である。

それに対し、テレビが普及し娯楽として全盛期を迎えるとともに、テレビでの活動も負けず劣らず重視されるようになった。音楽番組はもちろん、ドラマ、バラエティ、さらには報道番組と、いまやテレビにおけるジャニーズの活躍はきわめて広範囲にわたっている。この路線を確立させたのが、SMAPだった。

「Jr.黄金期」世代における舞台路線の代表は、いうまでもなく滝沢秀明である。自身が主演した『滝沢歌舞伎』などを通じて事務所創設者・ジャニー喜多川の演出術やエンタメ哲学を間近で吸収した滝沢は、演出家としても舞台に関わるようになった。一方テレビのほうの代表が、嵐だった。

転機は2007年頃

歌手としては、松本潤出演の人気ドラマ『花より男子2(リターンズ)』(TBSテレビ系)の主題歌「Love so sweet」(2007年発売)のヒットなどが飛躍のきっかけになった。2007年にはグループお披露目の場でもあった東京ドームで単独初公演、さらに2008年には5大ドームツアー、国立競技場でのコンサートを実現。そうして着々と実績を積み重ねていくなかで、2009年『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。

このことは、ジャニーズから初めて「Jr.黄金期」世代が出場するようになった点で歴史的な出来事だった。その後嵐は、2010年には番組史上初となるグループでの司会、さらに2014年には初のトリを務めるなど『紅白』における中心的存在になっていく。

また彼らは、2001年放送開始の深夜バラエティ『真夜中の嵐』(日本テレビ系)を皮切りにバラエティの分野でも存在感を発揮した。『ひみつの嵐ちゃん!』(TBSテレビ系、2008年放送開始)でプライムタイム(19時~23時)に進出、現在は『VS嵐』(フジテレビ系、2008年放送開始)と『嵐にしやがれ』(日本テレビ系、2010年放送開始)の2本の冠バラエティ番組を持つ。前者はゲストとともにオリジナルゲームを楽しむ番組、後者は各メンバーの個性にスポットを当てた企画中心の番組と色合いは異なるが、プライムタイムで2つの長寿冠番組を持っている事実が、嵐の国民的人気を物語る。

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