K-POPが嫌韓ムードなのにやたら重宝される訳 日本の音楽番組でK-POPグループが目立っている

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K-POPグループはネット戦略に長けていることもあって、「MVやショーケースの動画を次々に見る」「デジタルのリリースやライブを買いまくる」などとファンの熱が高まりやすく、物販力にも定評があります。そんな熱気は、「出演番組をリアルタイムで見てファン同士で盛り上がりたい」という気持ちにつながるなど、視聴率に直結しやすいことも起用理由の1つ。実際、「ベストアーティスト2020」の世帯瞬間最高視聴率はNiziUがデビュー曲を披露したときの16.0%でした(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

さらに、K-POPグループのファン層がスポンサー受けのいい若年層であることも重要なポイント。「ベストアーティスト2020」の出演時間を見ると、19時台に3組(ジェジュン、TOMORROW X TOGETHER、NiziU)、20時台に2組(IZ*ONE、NiziU2回目)、21時台に1組(BTS)でした。若年層が見やすいように早めの時間帯に配置して、視聴率を取ろうとしていたのです。

つまり、K-POPグループは「大人の中には嫌いな人も多いけど、子どもたちの中には大好きな子が多い」ということでしょう。だからこそ、今春の視聴率調査がリニューアルされたことで視聴者層の若返りを図っている各局にとって、K-POPグループは必要な存在なのです。

日本人メンバーとレコード会社の存在

2つ目の理由は、K-POPグループの中に日本人メンバーが増えたから。3人の日本人メンバーがいるTWICE(サナ、モモ、ミナ)を筆頭に、IZ*ONEも3人(宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美)、NCTは2人(ユウタ、ショウタロウ)など、年を追うごとに日本人メンバーの数が増えています。9人全員が日本人のK-POPグループ・NiziUは、その最たるものでしょう。

さらに今年だけでも、TREASUREのハルト、ヨシ、マシホ、アサヒ、ENHYPENのニキ、aespaのジゼルなど、10数人もの日本人がK-POPグループのメンバーとしてデビュー。運営サイドが営業戦略として日本人をグループに組み込んでいるだけでなく、最初からK-POPグループでのデビューを目指す日本人が増えているため、来年もこの傾向は続いていくでしょう。

グループの中に日本人メンバーがいることで、「日本人を応援してもらう」という起用の大義名分ができるうえに、番組内でのコミュニケーションも万全。日本の音楽番組ならではの構成・演出を理解してもらうことも、トークパートで盛り上げることも可能であるなど、制作面での不安はほとんどないようです。

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