子どもにあれこれ言う親が的外れでしかない訳 アイコンタクトひとつでできる究極の子育て

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一方、一見、自信があるように見えてじつは自己肯定感が低い人間はどうかというと、「僕は○○ができるからすごいんだ」と思っている。つまり、そのベースにあるのは、自己肯定感が高い人間とは対照的に「根拠のある自信」となります。「自己肯定感」と「自信」は似て非なるものなのです。

東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかりさんは、「自己肯定感が高い子どもは、自分に自信がもてるのでどんなことにも積極的に取り組むことができます。それから、自分のいいところも悪いところも含めて『いまの自分でいいんだ』という思いがあるので、気持ちにゆとりがあり、情緒が安定して他人にも優しくできます」といいます。

空気を読もうとするあまりに自分がわからなくなる

自己肯定感を育む方法として、井戸さんは、日常的に「ありがとう」「頑張ったね」と声をかけることを推奨します。また、結果ではなく頑張りのプロセスを見てその子のいい部分に気づかせてあげることで「お母さん、お父さんがちゃんと見ていてくれた」と感じさせてあげることも大事だと訴えます。

一方で、明治大学文学部教授の諸富祥彦さんは、「いい子症候群」に警鐘を鳴らします。「いい子症候群」とは、自分を抑えて周囲の人の期待に過剰に応えようとする、いま風にいえば、空気を読もうとするあまりに、自分というものがわからなくなっている子どものことです。

いい子症候群の子どもがそのまま大人になるといわゆる「アダルトチルドレン」になってしまいます。アダルトチルドレンとは、子どもの頃に自分らしくさせてもらえない体験を重ねることで、大人になってからも、生きづらさを抱えてしまう大人のことです。

親の価値観にそうことをしたときにだけ「えらいね」「いい子だね」とほめていると、子どもは無意識のうちに親の期待に過剰に応えようとする心の癖を身に付けてしまうので要注意です。

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