オーウェル『動物農場』の政治学 西川伸一著

オーウェル『動物農場』の政治学 西川伸一著

『一九八四年』や『カタロニア讃歌』で知られるジョージ・オーウェルの傑作『動物農場』は「社会主義」ソ連の現実に対する強い幻滅が執筆動機となった。スターリン独裁の恐怖とともに、権力はどのようにして絶対化し、腐敗していくかを戯画化して描いた逆ユートピア小説として、今なお根強い人気がある。

『動物農場』からほどよく引用しつつ、その思想的、政治学的意味を吟味し、現実の歴史に重ね合わせようとする著者の狙いはほぼ成功しているように思える。無味乾燥な学術書とは異なり、時に饒舌と思えるほど多彩で平易な叙述は飽きさせないし、政治学の入門書として効果的かもしれない。

言語支配、特権階級、英霊、優性思想、敵の発見、非決定権力、構想力の欠如、慣れの怖さ、など政治学上のテーマが史的事実、現代政治を材料に解明される。「哲人政治」とプラトンの一節など短いが考えさせられた。事項・人物(+動物)索引もある。(純)

ロゴス 1890円

  

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
JR九州“脱鉄道”の成算

今年、上場を果たしたJR九州。豪華寝台列車「ななつ星in九州」は話題になった。しかし、人口減少などもあって鉄道事業の先行きは暗い。成長は非鉄道事業の成否に懸かっている。