サイバーダイン、株価乱高下の必然 値動きの荒さは期待の高さゆえか

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5月22日に都内で行った決算説明会で今後の見通しを示した山海嘉之社長。プレゼンテーション資料には「加速度的に売上げ増大」と書かれていた。

ロボットスーツ「HAL」を手掛ける筑波大学発のベンチャー、サイバーダイン。注目の新規株式公開企業として、3月26日の上場初値は公開価格の2.3倍となる8510円をつけた。初値ベースでの同社の時価総額は100億円弱。その日の売買代金は446億円と、時価総額が約20兆円のトヨタ自動車を上回った。

上場当日、東京証券取引所での会見で山海嘉之社長は「来期(2015年3月期)は売上高が今期(14年3月期)の3~4倍、利益もブレイクイーブン(収支均衡)に乗せられそうだ」と、今後の成長に自信を見せていた。

15年3月期も赤字

ところが、5月15日に示した15年3月期の通期業績予想は、1カ月半前の公言とは大きく違った。成長は続くものの、「3~4倍」としていた売上高の見通しは前期比約2倍の9億200万円にとどまり、経常損益は収支均衡どころか、3億300万円(14年3月期は6億8200万円の経常赤字)と引き続き赤字が継続する計画だったからだ。

赤字見通しに株式市場は失望した。業績見通しの発表直前、15日の終値は7040円だったが、翌16日は前日比約13%安の6110円。さらに週明けも売り圧力はおさまらず、17日の終値は5110円。わずか2営業日で3割近くも値を下げた。

「ブレークイーブン」とした上場時のあの発言は何だったのか。上場時の前提からどんな狂いが生じたのか。

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