ボックス、日本でもスタートアップ投資検討 アーロン・レヴィCEOが語る成長戦略
働き方が変わる
ーーボックスのクラウドサービスを利用する企業が増えている背景はどこにあると思うか。
いま、世界が大きく変わりつつある。それにあわせて仕事のやり方も、大きく変わってきている。ゆっくりではなく、ものすごい速さで、だ。これにあわせて企業も変わらざるをえなくなっている。より速く、よりもっと、外部と協力し合う時代になった。1人1人の社員がタブレットなどの新しいデバイスを使い、世界中のパートナー、顧客、発注先と協業する時代がやってきたのだ。
今までのビジネスは、基本的に社内で閉じており、階層的な情報のやり取りになっていた。非常に厳格な流れのワークフローでシステムを組んでおり、データのやり取りも階層的だ。今でもほとんどの企業が階層的だ。
それを壊し、もっと俊敏性、柔軟性をもち、自然にどんどん変わっていくものにしなければならない。新しいテクノロジーをいかにうまく使って変化に対応できるかが、キーポイントだ。今は、クラウドをデリバリーモデルとして活用すれば、企業はインフラの心配をする必要がない。管理は第三者にやってもらえばいいわけだ。マイクロソフトのような企業内システムを提供してきたベンダーは、真の意味での新しい価値を提供できていない。古いシステムの完全な置き換えを目指す点がボックスの特徴だ。セールスフォース・コム、ネットスイート、ゼンデスクなどとともに、新しい市場を切り開いている。
ーー前期の売り上げの伸びが大きい。IPOを意識して契約時に将来の利用料を前倒しで認識するような会計処理を行っているのではないか。
売り上げの認識については標準的な方法を採っている。何か変わったことを行って伸びたわけではない。急成長している理由は、ヴァーティカル市場(ヘルスケア、ライフサイエンス、金融サービス、メディアなど)への投資に加え、国際展開の加速にも思い切った投資を行ったためだ。実際、ユーザーの伸びは大きい。たとえばGEが顧客になったことで新規に30万のユーザーが加わっている。ユーザーの伸びに比例して利用料収入が増えている。
ーーアマゾンのクラウドサービスAWSは利用料の値下げを繰り返している。グーグルなども含めて値下げ合戦の様相だ。ボックスの利用料戦略は?
二つの考え方があると思う。一つは顧客に同じサービスを提供し続けて価格を下げていくというもの。もう一つは、価格は同じに保ちながら、提供する価値を拡大していくという考え方だ。ボックスは、価格を据え置きながら提供価値を増やしていく道を進んでいる。
例えば、使えるストレージの量が増える、データ処理のスピードがさらに速くなる、或いは顧客の要望に応じて次々に新しいコンテンツ管理サービスが追加される。検索にしても、安全性にしても、常に価値を高め続ける。しかし、同じ価格で提供していきたい。
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