【鳩山兄弟考】(その2)岸・佐藤兄弟首相との決定的な違い

【鳩山兄弟考】(その2)岸・佐藤兄弟首相との決定的な違い

塩田潮

 兄・鳩山首相は支持率低落(2月22日発表の朝日新聞調査で37%)や長崎県知事選敗北などで四苦八苦だが、弟の鳩山邦夫元総務相は自民党で舛添前厚労相らの経済戦略研究会に加わり、政局の転換と政界での主導権確保に虎視眈々だ。
 兄弟が敵味方に分かれて権力闘争の戦場でどんな「骨肉」の戦いを演じるのか、興味が尽きない。

 鳩山兄弟は、25歳で初当選の弟のほうが、10年遅れで政界入りした兄よりも、政治家としては先輩だ。幼い頃から「目標は政治家」と見定めて突っ走った弟に対して、学究肌で目立たなかった兄はコンプレックスがあった。
 ところが、90年代半ば、従来型の永田町的政治家像の弟よりも「宇宙人」「非永田町的」のイメージの兄に注目と人気が集まり始める。長年のコンプレックスも消えた。その勢いで96年、民主党を旗揚げする。母の勧めを受け、弟とともに行動を起こしたため、「マザコン政党」「兄弟私党」と皮肉られたが、結党の主導権は兄にあった。
 以後、民主党一筋で走り続け、首相を射止めた兄に対して、弟は民主党と反りが合わず、離党、都知事選敗北、自民党復帰と転変を余儀なくされた。

 だが、ドラマはまだ進行中だ。兄の首相はここへきて「宇宙人」「清新リーダー」の裏側の顔が見え隠れし、正体が割れ始めた印象もある。ここからが「兄弟政治絵図」のクライマックスだろう。
 骨肉相食む死闘まで突き進み、「兄弟は他人の始まり」となるのか、水面下で手を結び、「右手で殴り合い、左手で握手」という芸当を演じて「兄弟は左右の手」を実証するのか。

 とはいえ、「兄弟首相」で知られた岸・佐藤兄弟との決定的な違いは、兄弟とも力量・手腕の点で見劣りするという政治リーダーとしての軽さと脆弱さにある。兄弟間の力学が描き出す「絵図」も気になるが、鳩山兄弟の場合、ともに賞味期限切れとなって時代に使い捨てられる危険性がある。
 生き残るのは兄か弟か。
(写真:尾形文繁・宮本信義)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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