ジェフ・イメルト GEの変わりつづける経営 デビッド・マギー著/関美和訳 ~人材の大切さを教える変わらぬ成長企業GE

ジェフ・イメルト GEの変わりつづける経営 デビッド・マギー著/関美和訳 ~人材の大切さを教える変わらぬ成長企業GE

評者 黒田康史 YSコンサルティング代表

 本書は、伝説的経営者ジャック・ウェルチ引退後のGE(ゼネラル・エレクトリック)、そしてその後任ジェフ・イメルトについて詳しく知るうえでなかなかの好著だ。

何よりも印象的なのは、イメルトがウェルチ流の企業哲学を引き継ぎながらも、それを自分流に進化させ、困難な環境下で7年間、超巨大コングロマリット企業を果敢に変革・再構築し、これからの時代にふさわしい成長企業へと見事に導いている点だ。この点、彼はまさに時代にふさわしい経営者だし、こうした経営者をしっかりしたプロセスの下で育て選んでいることは、GEの伝統であり、最大の強みといえるだろう。

本書からも、インテグリティ、業績重視、変革は、いわばGEのコア・バリューで、イメルトも最も価値を置いていることがよくわかる。一方、ウェルチ時代にはなかったか、あっても重視されていなかった価値観・文化や戦略は多い。長期的視点、顧客の現実的なニーズを引き出す顧客重視の視点、グローバルリサーチセンターに代表されるイノベーション重視の文化、環境重視の戦略を強く打ち出した「エコマジネーション」、従来のM&A戦略を受け継ぎながらも他社とのパートナーシップを積極的に模索する戦略等がよい例だ。しかし何といってもこの厳しい時代に人材(リーダー)開発にいっそう力を入れていることは、人材の大切さを知り尽くしているGEならではの価値観といえるだろう。

GEの成長性は、イメルトが毎年大量の自社株買いをしていることや、伝説的な投資家バフェットによる巨額投資など、その高い評価は疑う余地がない。困難な時代にこそ底力を見せているGE、そして見方によってはウェルチを既に超えたイメルトからますます目が離せない。

David Magee
フリーランスのビジネス・ジャーナリスト。ニュースの編集者、新聞社のコラムニストを経る。近年はウォール・ストリート・ジャーナル、『ハーバード・ビジネス・レビュー』、『ニューズウィーク』などに執筆。著書に『ターンアラウンド-ゴーンは、いかにして日産を救ったのか?』。

英治出版 1890円 277ページ

  

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