2025年、日本が「大阪」に救われることになる訳 万博、IR、都構想でがぜん盛り上がり始めた

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──コロナの影響が心配ですが。

今年10月に予定されてたドバイ万博は1年延期されました。でも5年先はウイルス対応が間に合っていると考えます。大阪万博では、来場者2800万人に加えネット経由の参加者80億人という言い方をしています。今回のコロナでまさにリアルからネットへの大移動が起こった。そういう意味でネット開催がどれだけ盛り上がるか、1つのショーケースになる。5年先、われわれはある程度コロナ後の世界をイメージできているはずです。それを示す場として、大阪万博は世界史的意味を持つんじゃないかと、確信しています。

新しい技術を試す場所になる

──未来社会の実験場でもある。

アイデアの募集には1000件超が寄せられました。現時点で出ている案は、会場をデジタル化実験地区にして、ウェアラブルデバイスによる生体情報システムとか地域通貨、ブロックチェーンなどデータ経済圏をつくる。さらに1人か2人乗れるドローンを飛ばす。これは実用化される可能性大と思います。大阪は川の街だから、夢洲─中心部間の移動用にドローンを川の上に飛ばす実験など、どんどんやればいい。

石川 智久(いしかわともひさ)/1974年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井住友銀行を経て、日本総研入社。関西経済研究センター長や大阪府「万博のインパクトを活かした大阪の将来に向けたビジョン」有識者ワーキンググループ委員などを歴任。6月に共著『大阪の逆襲』を出したばかり。(撮影:尾形文繁)

その先にはドローンで淡路島に飛ぶとか神戸に行くとか、淀川伝いで京都へ行くとか、いろんな可能性が開けますよね。また、自動運転で大阪駅から無人バスを走らせるとか、関空から高速道路を走らせようかとか。今までになかった形、新しい技術でワクワクするものをつくることがすごく大事になってきます。

──万博が、新しい産業を創出する装置としても機能すべきだ、と。

前回大阪万博の1970年は日本における外食元年でした。万博を機にフライドチキンやハンバーガーなどファストフード産業が羽ばたき、セントラルキッチンの仕組みが導入された。2025年万博ではiPS細胞などのメディカル、電子部品・電池分野のほか、スマートシティーが有望な候補です。万博と同じ時期に計画されるIRが加われば、甲子園球場100個分の更地である夢洲は、スマートシティーのまたとない適合地です。

若手経営者たちと話をすると、祖父が1970年万博で、父が1990年の花博で活躍した、3代目の自分は次の大阪万博で第2の創業を目指したい、と意気込む人が多い。

──IRもインパクト大ですか?

次ページ目指すはラスベガス?
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