大人も魅了する「進化系クッキングトイ」の実力 巣ごもり需要で例年以上に市場も活性化する

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メーカー側もクッキングトイの購買層の広がりを感じ、それに対応した商品を開発している。タカラトミーアーツ、マーケティング部の鳥越永士郎氏によると、近年同社商品のユーザーに特徴的なのは、男性のひとり飯のシーンでクッキングトイを愛用する人が増えたことだという。

「弊社の『究極シリーズ』は、ファミリーで楽しむというよりも、個食に近いシーンで支持されている商品です。“食を趣味的に楽しみたい人々”という、クッキングトイ利用者には今まで少なかった層がメインターゲットになっています」(鳥越氏)

究極のTKGで購入層を広げる

「究極シリーズ」のラインナップは「究極のTKG(たまごかけごはん)」「究極のNTO(なっとう)」「究極のMYO(マヨネーズ)」。なかでもいちばん人気なのは2017年に発売されたシリーズ第1作目の「究極のTKG(たまごかけごはん)」だ。

「究極のTKG」で作れるのは生卵の白身をメレンゲ状に泡立てた卵かけご飯。卵を割ってメレンゲを作るという面倒な工程を、究極に楽しく簡単に行えるのが玩具の特徴だ。卵ホルダーに生卵をセットしていくつかのボタンを押すだけで、ちょっと特別な卵かけご飯が作れる。白身と黄身の分離や白身が雲のようにフワフワに泡立っていく過程は、実験感覚で楽しめそうだ。

「究極のTKG(たまごかけごはん)」は3年前に発売されたもの。待望の声が多く、この秋再発売する(写真:タカラトミーアーツ提供)

NTO(なっとう)やMYO(マヨネーズ)も基本的にはTKGと同様に食材を攪拌しフワフワにすることで、見た目や食感に特別感を加えるもの。卵や納豆という、日本人男性が好み、かつアレンジの幅も広そうな食材を扱っているのが心憎い。凝り性だが本格的な調理には馴染みがない男性に、ウケているようだ。

鳥越氏に商品開発において大切にしていることを聞くと、何よりも「楽しい体験」だという。「シンプルなのですが、食を通じて楽しい体験を提供したいのです。

『究極のTKG』にしてもメレンゲ自体は調理器具でつくれるものですが、玩具に卵をセットして、割って、メレンゲができる過程を“いかに楽しむか”に、フォーカスしています。『そうめんスライダー』も同様ですが、一見馬鹿らしくも見えるユニークさが弊社の個性だと思います」(鳥越氏)

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