今の30~40代非正規を待つ「極貧」老後の超不安 年金保険料を十分に払えず給付が期待できない

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なお2019(令和元)年の法改正によって、51人以上の企業のパートタイム労働者も、2024(令和6年)までには加入できるようになった。

そうするとパート労働などの非正規労働者の週あたり労働時間の分布に関心が移る。どの程度の割合で週20時間未満のパート労働者がいるのだろうか。それを示したのが次の図だ。

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

これは1週間あたり就業時間別の労働者数を示したものである。少し古く2009(平成21)年のものであるが、その後非正規労働者の数は減ることはなくむしろ増加傾向なので、この図は現代でも通用すると考えてよい。

この図によると、週労働時間が1~4時間が27万人(0.5%)、5~9時間が110万人(2.1%)、10~14時間が138万人(2.6%)、15~29時間が720万人(13.5%)となっている。15~29時間の人のうち、正確に週20時間未満のパート労働者が何名いて何%になるかを算出できないが、15〜29時間のうちおよそ3分の1の4.5%が15~19時間とみなせば、20時間未満の労働者はおよそ9.7%となる。全労働者のうち9.7%ほどが週労働20時間未満のパート労働者とみなせることになる。

515万人が社会保険に加入できない

パート労働者(週35時間未満の労働時間で合計が1431万人いる)のうち、およそ515万人(パート労働者のうちのおよそ36%)が社会保険に加入できないのである。これは先ほど述べた意図的に社会保険に加入しない企業が約79万社で、そこで働いている人と、ここで述べた515万人を加えると、1000万人台を超す労働者が存在していることを示唆している。もとよりダブルカウントもあるので、正確な数の算出は困難である。

ここで述べた厚生年金などの社会保険に加入していない企業で働いている人、そして企業は加入しているが労働時間が週20時間未満で加入できない人の全員が、社会保険から排除されているのではない。年金であれば次に説明する国民年金制度に加入する道は開かれているので、それに個人の意思で加入していれば問題の深刻さは和らぐのである。

ところがである。国民年金制度の加入・納付状況に関しては特に保険料の納付率に問題のあることは、よく指摘されてきたことである。国民年金制度には3つの制度があって、ここでは第1号被保険者(自営業や無業の人)での話題であり、第2号被保険者(被雇用者)と第3号被保険者(第2号の人で働かない配偶者)には関心は寄せない。

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