中国の大学生「英語は8割が話せる」驚きの実態 高学歴・高収入な世帯はオンライン教育に熱心

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親がオンライン教育を選ぶ理由はさまざまだが、「学習塾は送り迎えが大変」「学校では教師の質にばらつきがある」「子どもの学習の進捗状況を把握できる」が主な理由となっている。

「中国の都市部では共働きが多く、交通渋滞も激しいので送り迎えは切実な問題です。また地方の親にとっては、子どもに大都市のような質の高い学校教育を受けさせたいというのが大きなモチベーションになっています。英語ネイティブの優秀な先生は、大都市に集中していますからね」

また忙しい親にとってはこんなメリットもある。

「保護者専用のアプリを使うと、子どもの学習の進捗状況をタイムリーに把握できることも、親にとってはオンラインの大きなメリットです。さらに親にとってうれしいのは、授業回数が選べたり、家庭の都合で予約やキャンセルができたりすることですね」(元社員)

アメリカ人とカナダ人教師の人気が高いワケ

オンライン英語学習の教師で親から人気が高いのは、アメリカ人とカナダ人だ。その理由は3つあり、北米の教師は発音やアクセントが正しいこと、子どものモチベーションを高める授業を行うこと、そしてこの2カ国は子どもを留学させる最大の候補地であることだ。

ほかに人気ある国はイギリスとオーストラリアだが、同じ英語圏でもフィリピンの人気は「発音やアクセントが気になるため」低い。こうした人気は授業の価格にも反映されていて、アメリカ、カナダの教師の授業料は高めに設定されているという。

教師たちはアメリカやカナダの自宅で、中国の子どもたちと会話をする。「アルバイト感覚」で働いている在宅の主婦や学生もいるが、売れっ子になると本業としてサービスを掛け持ちしてやっているという。トランプ大統領がいくら中国との対立構図を煽っても、子どもの教育現場で米中は、がっちり手を組んでいるのだ。

鈴木 款 教育アナリスト

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すずき まこと / Makoto Suzuki

1985年早稲田大学政治経済学部・2020年同大学院スポーツ科学研究科卒。農林中央金庫で外国為替ディーラー等担当。NY支店に4年半勤務。1992年フジテレビに入社。営業局、「報道2001」ディレクター、NY 支局長、経済部長を経て現在解説委員。著書に『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉 』『日本のパラリンピックを創った男 中村裕』『日経電子版の読みかた』、編書「2020教育改革のキモ」。教育問題をライフワークに取材。テレビ・ラジオ出演、講演・大学講義や雑誌・ウエブへの寄稿多数。映倫の年少者映画審議会委員。はこだて観光大使。趣味はマラソン、トライアスロン。2017年にサハラ砂漠マラソン(全長250キロ)走破。

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