2019年の出生者数は90万人割れ、合計特殊出生率は1.36に低下

この6月、2019年の出生率が発表され、日本の少子化、人口減少が加速していることが鮮明となった。厚生労働省の令和元年人口動態統計月報年計によれば、出生数は2018年を下回る90万人割れとなり、合計特殊出生率は1.36 に低下することとなった。人口減少幅も50万人を超えている。合計特殊出生率とは1人の女性が15歳から49歳までに生む子どもの数の平均を示しており、国際比較でよく利用される。人口減少の第一の要因は少子化にあるとされており、日本では将来予測を超えて人口減少が進む懸念がある。

2019年の出生数は86万5234人。2018年の91万8400人から5万3166 人減少し、過去最も少なくなった。これまで出生数は戦後すぐの1949年の269万6638人をピークに、1973年以降、減少傾向が続いている。最近では2015年に一時増加したものの、翌年から再び減少傾向に入った。

母親の年齢別で見ても、すべての年齢階級で出生数は減少している。これまでも出産の高齢化が指摘されてきたが、40 歳以上では、出生数は5万840人となり、うち第1子は1万 8378人。40 歳以上の出生に占める第1子の割合は 36.1%となっている。第1子出生時の母の平均年齢は上昇傾向にあり、2005年で29.1歳、2015年から今回の2019年まで連続して30.7 歳で高止まりしている。

2019年の合計特殊出生率は1.36で、前年の1.42から大きく低下した。母親の年齢別の合計特殊出生率では30~34歳が最も高いが、年齢全体で減少傾向が続いている。都道府県別では沖縄県が1.82と最も高く、宮崎県1.73、島根県1.68、長崎県1.66と続き、東京都が1.15と最も低い。少子化は欧州や東アジアなどの先進各国でも同様に大きな課題となっている。とくに韓国は0.98、シンガポールは1.14と合計特殊出生率は日本をも下回っている状況にある。先進各国では出産の高齢化が少子化に至る大きな要因とされており、各国ではこの状況をいかに打破するか頭を悩ませているようだ。

婚姻件数は7年ぶりに増加に転じる

一方、注目したいデータもある。日本の婚姻件数は2018年から1万2484組増え、59万8965 組と7年ぶりに増加した。婚姻件数は、1972年の109万9984組をピークに、1975年から増加と減少を繰り返しながら推移、2013年から減少が続いていた。ただし、初婚の妻の年齢は、2018年に比べ、20~24歳では低下し、25~39歳では上昇するなど、年齢の低い者の割合が低下し、年齢の高い者の割合が上昇する傾向が続く。平均初婚年齢は、夫31.2歳、妻29.6歳。2014年から2018年までは夫31.1歳、妻29.4歳が続いていたが、夫妻ともに6年ぶりに上昇している。都道府県別に見ると、平均初婚年齢が最も低いのは、夫は宮崎県で30.1歳、妻は岡山県で28.8 歳。最も高いのは夫妻ともに東京都で夫32.3歳、妻30.5歳となっている。婚姻件数は増えているものの、婚姻の高齢化が進んでおり、少子化の改善になかなかつながらない要因と指摘されている。

死亡数を見ると、戦後最多の138万1098人となり、前年の136万2470人より1万8628人増加した。その結果、出生数と死亡数の差である自然増減数は51万5864人の減少となった。人口の減少幅は昨年の44万4070人から7万1794人ほど上乗せされ、13年連続で減少し、過去最大となった。都道府県別では沖縄県(2393人)のみが人口増だった。

2015年の国勢調査によれば、日本の総人口は1億2709万人。これを基に国立社会保障・人口問題研究所が導き出した出生中位推計による将来推計人口を算出した結果、2040年は1億1092万人、2053年には1億人を割って9924 万人となり、2065年には8808 万人になると推計されている。しかし、すでに人口減少のペースはこの推計を上回っている。

日本の現在の経済力は、現在の人口に支えられている。今後、急速に少子化、人口減少が進んでいくと、現在の経済力、ひいては国力を維持することは難しくなる。今後、日本の国力を維持、あるいは大幅に減少させないためにも、国家の土台をつくる教育を改革することが重要なカギを握っているともいえる。そのためにも少子化時代に対応したICT活用をはじめとする一連の教育改革は日本の将来を見据えるうえで、一段と重要になっていくだろう。(写真:iStock)