10人採用するなら1000人に声をかけよ
1000→85→13→10の法則

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マッチングの精度を上げる方法

目標採用数をクリアするためには、大きな母集団を作って、とにかく会社のことを伝えていくしかない点は、おわかりいただけたと思います。

しかし、数字を追うあまり、応募者にミスマッチな人が増え、マッチングの精度が下がってしまうのではないかと、疑問を持つ人もいるかもしれません。事実はむしろ逆で、たくさんの人にお会いすればするほど、精度は確実に向上していきました。

たとえばリンクトインやビズリーチなどで、時には十分ではない経歴情報でお声がけしなくてはならない場合。この業界のこの会社とうちの会社の社風は共通するところがあるとか、こんな職務経歴書を書いてくる人はこういう傾向が強いなど、数をこなすうちにわかってくるコツや勘があります。

何百人、何千人と面接をしていると、相手を一目見るだけで「この人はうちの会社に合うか否か」が直感的にわかるようになってきます。こればかりは、他人に説明するのが難しいスキルです。ある程度、数をこなし、時には失敗も重ねないと身に付かないスキルと言えるでしょう。

考えてみれば、ほかの仕事も同じです。おすし屋さんが築地でよい魚を見極められるようになるのも、経験と数が勝負です。お医者さんだって、手術経験が5人の先生よりも、500人の先生のほうがその手術に精通していると判断されるはずです。

このように、ほかの仕事であれば数をこなしてスキルを上げていくのは当然のことなのに、採用活動になったとたんに、「ご縁」「出会い」といった言葉に逃げてしまう人が多いように感じます。

競争力の高いグローバル企業においては、すでに人材獲得競争が熱を帯びています。優秀な人材の採用を止めてしまったら、これ以上の成長はかなわない。そのぐらいの気持ちで採用に向き合っていかなければなりません。

ビズリーチ流採用のコツ:毎月1000人の母集団を作り、KPIを取り入れて採用に至るまでの数字を追う。

(構成:朝倉真弓)

南 壮一郎 株式会社ビズリーチ代表取締役

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みなみ・そういちろう

1999年、米・タフツ大学数量経済学部、国際関係学部の両学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券に入社し、投資銀行部でM&Aアドバイザリー業務に従事。楽天イーグルス創業メンバーを経て、株式会社ビズリーチを創業。2009年4月、管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を開設。2012年、ビズリーチのアジア版「RegionUP」(リージョンアップ)、2014年、若手向けレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」を立ち上げる。5年で関係会社を合わせ、従業員数400人(7カ国出身)の組織へと成長。世界経済フォーラム(ダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ2014」に選出される。著書に『ともに戦える「仲間」のつくり方』『絶対ブレない「軸」のつくり方』がある。

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