これから婚活するあなたに--白河桃子の「誤解された婚活」・婚活ブームを検証する 第4回(全4回)

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●「稼ぐ女」と「愛される男」が婚活の鍵を握る

 さらに日本には欧米化するよりも、独自の道を選ぶかもしれない。それは「母系社会」という可能性だ。

 いまでも働く女性たちを支えるのは、「妻の実家」のバックアップである。かつてのような夫の実家を中心とした大家族主義ではなく、妻の実家を中心とした大家族で、制度の不備を乗り切る形が主流となってくるかもしれない。

 いずれにしても、女性たちが本気で細く長く働く覚悟をすること、「昭和的結婚」からの脱出という意識変換をしないことには、婚活の限界を乗り切れない。婚活にいちばん重要なのは、HOW TOではなく意識変換なのである。

 特に今後の婚活の行方は、女性たちの意識変換にかかっていると思う。

 ひととおり婚活をしてみて、「なるほど、養ってくれるような男性はいない」と気がついた人は、「年収600万男性との片働き結婚」から「2人で働き続けて600万世帯」へと理想を変えていく。

 ある女性誌(30代向け)のアンケートでは、多くの既婚女性たちが「夫の年収は理想より100万少なかったけれど、私も働けばいいと思いました」と回答している。

 女性たちは難しいようで簡単なのだ。「好きな人」と「年収100万」をてんびんにかけたら、「『年収100万』の妥協で『好きな人』と一緒に暮せるならOK」という結論になる。

 となると問題は、「その気にさせる男性」の存在……。女性たちが「条件なんかいいや」と思えるほどの「愛される男性」。

 「稼ぐ女」と「愛される男」が、今後の婚活の鍵を握っている。
白河桃子(しらかわ・とうこ)
ジャーナリスト&ライター 東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
「プレジデント」、「シュシュ」、「ジンジャー」、「日経」アソシエオンライン、「日経」新聞サイト、その他婦人公論など多数女性誌に執筆。女性の年代別ライフスタイル、未婚、晩婚、少子化などに関するインタビューがテーマで、その膨大な取材量には定評がある。
山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の『「婚活」時代 』(ディスカヴァー21刊)が19万部のヒットに。「婚活」は2009年度流行語大賞にノミネートされるほど世の中に影響力を持つワードとなり、今日も注目されている。
公式ブログ:http://www.diamondblog.jp/touko_shirakawa/
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