日本が「コロナ第2波」で最も脆弱になる懸念 WHO「パンデミック12の教訓」は無視できない

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5月18日に内閣府が公表した2020年1-3月期実質GDP速報値は、市場予測を若干上回る-3.7%であった。ただし、これは前期となる昨年10-12月期が、消費増税や巨大台風の影響で-7.3%の大幅マイナスであったことを考えれば、まったく楽観できる数値ではない。

さらに足元の4-6月期は、20%程度のマイナス成長になるのではないか、とみられている。景気はまさに現時点がボトムであって、ここから夏以降への道筋がV字回復となるのか、それともL字型(反発力なく低迷が続く)やU字型(なべ底不況が到来して回復に時間がかかる)になるかは、すべては今後に懸かっている。

過去の「3つのパンデミックからの教訓」とは?

もうひとつの可能性として、W字型(感染の第2波が到来して、せっかく立ち直りかけた景気が腰折れする)もあって、これも気になるところである。過去のパンデミックでは、高い確率で第2波や第3波が起きている。目先は緊急事態宣言の解除でホッと一息というところだが、ここで気を抜くわけにはいかない。

そこでご紹介したいのは、2005年にWHO(世界保健機関)が発表した”Avian influenza: assessing the pandemic threat”である 。2004年に流行した鳥インフルエンザ(H5N1型)に関する報告書なのだが、第2章の「過去のパンデミックからの教訓」がお勧めだ。20世紀に発生した3つのインフルエンザ大流行を振り返り、そこから教訓を得ようとしている。

その3つとは、①スペイン風邪(1918-1919)、②アジア風邪(1957-1958)、③香港風邪(1968-1969)である。いや、スペイン風邪は最近になって学習したところだが、後の2つは初めて聞いた。これら3つのパンデミックから、WHOがまとめた12の教訓がある(同31-33p)。これが今読むとまことに有益なのである。そのうち、いくつかをご紹介しよう。

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