GM大量リコール問題、刑事訴訟に発展も 自動車大手初の女性CEOにいきなりの試練
GMは2001年に点火スイッチの不具合があることを認識していながら、対応していなかった。また2006年には、点火スイッチの設計を変更したにもかかわらず、製造番号を変えなかったことが内部情報で明らかになった。つまり、不具合の修正が隠蔽された形だ。バーラCEOは米議会で「2006年以降、点火スイッチ問題が起きていない。(製造番号が同じなのに)なぜスイッチのデザインが変わっているのか説明がない」と糾弾された。
今後、GMはトヨタ自動車と同じように、リコール隠しの疑いで司法省に刑事訴追される可能性が高まっている。また民事訴訟の数も急増しており、かつてない規模の集団訴訟が起こる可能性もある。
GMは今年1~3月で、7億5000万ドルのリコール費用を計上すると発表している。リコール隠しで司法省からの制裁金や民事訴訟による賠償金などの支払いが課されれば、さらに負担が膨らむことになる。
外部から人材を登用
今回の問題に対応するため、GMはクリントン政権時代にメディア対応を担当した危機管理エキスパートであるジェフ・エラー氏、2001年の同時多発テロ犠牲者のための基金作りに奔走した弁護士のケネス・フェインバーグ氏を雇い入れた。彼らをリコール対策チームに加えることも明らかにしている。
GMの株価は4月9日時点で33.62ドル。最初にリコールを発表した2月7日から約6%下落した。ただ、同社に対する株式市場の評価は、必ずしも悲観的ではないようだ。株式関連の情報を提供する「ザ・ストリート」のアナリスト、アンドリュー・メオラ氏は、「バーラ氏がリコール隠しに関与している可能性は低い。この問題で彼女を中心にした経営体制がより強固になって欲しい」と話す。
就任早々に直面した今回のリコール問題を乗り切り、旧態依然としたGMの体質を変えることができるのか。バーラCEOの真価が試される。
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