どうぶつの森「楽しめる人・すぐ飽きる人」の差 世界観壊す「ナンパ師」「詐欺師」にはご用心

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また、手に入れにくいアイテムの交換を持ちかけ、その対価としてのマイル旅行券やアイテムなどを受け取った瞬間に、インターネット回線を切断して、逃げてしまう詐欺師もいる。

ほかにも、人気のどうぶつや希少な資源などを現金取引で販売するRMT(リアルマネートレーディング)も行われている。

だが幸い、大半の人はこちらがルールやマナーを守りさえすれば、気持ちよく対応してくれるはずだ。仮にゲーム内のアイテムをだまし取られたり、暴言を吐かれても、それは「人生経験」であると考えればいい。

あつ森での経験を足がかりにすれば、ほかのゲームやSNSでも、インターネット上の見知らぬ相手とのコミュニケーションができるようになる。「お金は払わない」「個人情報を教えない」「安請け合いはしない」といった、基本的なマナーさえおさえておけば、少なくとも取り返しのつかないような被害はないはずだ。

「自発性」を刺激する優れたゲームシステム

最後に。あつ森では、プレイヤーがキャラクターを動かそうとしなければ、ただただ何もないままに時間は過ぎていく。プレイヤーは何もしなくてもゲームオーバーになることはないし、島には朝が来て夜が来て、季節も移り変わっていくだけだ。

何もしないことを否定するつもりはないが、やはり自発的に何か行動しようとしなければ、あつ森の一番楽しい部分は味わえないのではないか。だが素晴らしいことに、このゲームは常に「何かしよう」という仕組みがあふれている。

無人島はとても美しく、どうぶつたちはいつも楽しげだ。家具や小物は魅力的だし、服が集まれば、つい着飾ってみたくなる。プレゼント箱付きの風船が飛べば撃ち落として箱を開けたくなるし、蝶が舞い、魚が泳ぎ、虫が生きている。

 

DJ風な設備をあしらえた筆者の部屋(写真:筆者スクリーンショット)

この無人島ではどうしたって「何か」をせずにはいられない。そしてその「何か」は、大人にとっては日々から切り離された「ゆったりとした時間」であり、子供にとってはいろいろな誘惑に打ち勝ったり、知らない人とゲームを通してやりとりを学ぶという「冒険」なのである。

とてものんびりした、終わりのないゲームだからこそ「自分の楽しみ方」をしっかり持っている人であればあるほど、長期間、濃密に楽しめるゲームであると僕は理解した。

普段、僕はあまり誰かと一緒にゲームをすることはないけれども、もう少し背伸びをして楽しんでみようと思う。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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