”大赤字”だったバルセロナを甦らせた男 フェラン・ソリアーノ・元FCバルセロナ副会長に聞く

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ヨーロッパ以外でのサッカー市場は、成長率は鈍るが、拡大は続くだろう。FCバルセロナのテレビ視聴のうち、スペイン国内は23%しかなく、77%が海外向けの放送になっている。国内の数倍の視聴者が海外にいるが、収益のほとんがはチケット販売などスペイン国内から上がっている。世界的に景気が悪くなったとは言っても、潜在的なマーケットは非常に広い。特に中国市場には注目できる。

――日本市場はどう見ている?

日本はドリームマーケットだ。なんといってもサッカー好きが多く、しかもサッカーに使えるおカネをたくさん持っている。日本のJリーグは欧州リーグとは技術的なレベルの差が大きく、市場として競合することはない。日本には、すでにFCバルセロナの熱狂的なファンもたくさんいる。また、FCバルセロナには、現テクニカルディレクターで、浦和レッズでプレーしたこともあるベギリスタインなど、日本になじみ深い人材もいる。

FCバルセロナは日本でのビジネスで成果を上げたが、これで満足していたわけではない。ジュニアのレベルで日本とFCバルセロナの経常的な連携を作りたかった。また、日本での試合ももっとできると思う。

――日本のJリーグ運営を良くするには。

サッカークラブの経営には、もっと若い人材が必要だ。若いと経験不足、とよく言われるが40歳代くらいがちょうどいい。特に他の業界でマネジメントの経験を積んできたような若い新しい息吹を吹き込むことが重要だ。

ビジネスとして見た場合、日本と欧州では技術的なレベルは歴然としており、世界市場を相手にするような欧州のビッグクラブと同じ戦略はとれない。とはいえ、FCバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドなどのハイレベルのチームを擁するリーグは、世界でもむしろまれな存在だ。バスケットボールで言えば欧州の各国リーグはNBAとは比べ物にならないが、それでもみんな地元のチームを応援する。スポーツチームの運営はファンとの感情的なつながりが重要で、技術的なレベルではなく応援してもらえるようにするのが大切だ。

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