岩田健太郎「手指消毒がコロナに1番効く理由」 「引き算の発想」欠如が日本人の疲弊を招く

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よく誤解されているので確認しておくと、飛沫は人間からしか出てきません。つまり、人間がくしゃみをしたり咳をすることで、飛沫という水しぶきが飛んでいくんですが、一旦落ちてしまうと、床からもう一回水しぶきがボンと上がってくることはないんです。

飛沫は人間からしか出てこない。床とか物からヒューヒューとウイルスが飛んでいくことはない。ここをちゃんとイメージできると、ウイルスにどう対処すればいいか正しく判断ができるようになります。

「服についたウイルス」は熱湯で消毒できる

接触感染に関連して、外から帰ってきたときに、服にウイルスが付いているじゃないかと心配している人もいるかもしれません。

でもコロナウイルスは空気感染しないですし、日本の場合はハグをする習慣もないですから、街で普通に日常生活を送っているとシャツにどんどんウイルスが付いてしまう、という心配をする必要はありません。

また、症状が軽いか無症状の感染者は、病院に入院するのではなくて自宅で療養していてください、という方針がようやく取られるようになりました。

その場合、感染者が脱いだ服にはウイルスが付いている可能性がありますが、ウイルスは熱湯で死にますので、熱湯に漬けて5分くらい置きましょう。その後は普通に洗濯機で洗濯しても大丈夫です。

要は、手指さえ清潔にし続けていればいい。

例えば、ぼくたち医者が新型コロナウイルスの患者さんを診るときにはガウンを着て、手袋をしますけど、靴は普段の靴のままで、履き替えません。履き替えると、むしろ、靴を脱ぐ行為のほうがウイルスに触ってしまうリスクがあります。

例えば床にウイルスが付いていても、別に靴の裏を舐めたりしなければ感染しないわけです。靴にくっついてるウイルスが口まで飛んでくることはないですから。

飛沫はあくまで人からしか発生しないので、床が飛沫をつくったり靴が飛沫をつくったりすることは絶対にありません。

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