【産業天気図・精密機器】カメラ底打ちも、事務機など法人向け苦戦続く、10年9月まで「曇り」

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  09年10月~10年3月    10年4月~9月

精密業界の空模様は2010年9月まで終始「曇り」が続きそうだ。デジタルカメラなどコンシューマ向け市場は在庫調整一巡で上向きつつある。一方で、事務機など法人需要は依然低迷しており、底が見えない状況だ。

デジタルカメラでは特に一眼レフカメラが好調。キヤノン<7751>はエントリーモデル「EOS Kiss X3」の動きがいい。、ニコン<7731>も好採算のハイアマチュアモデルが想定以上に堅調だったことから、今10年3月期の営業赤字額を120億円減らす業績上方修正をした(修正後は営業赤字180億円)。「クリスマス商戦の動向は不透明」(キヤノンの大澤正宏・常務取締役)とは言うものの、最悪期は脱した格好だ。
 
 コンパクトカメラについては、台数ベースでは底を打ったが単価下落が止まらない。各社は受託製造企業へのアウトソーシング比率を高めるなどして、コストダウンに注力している。だがコンパクトカメラは先進国においては成熟市場。手ブレ防止や顔認識など、かつて一世を風靡した機能ももはや陳腐化し、機能面での革新は難しい。低価格訴求で消費者を奪い合うトレンドは今後も続きそうだ。この環境の中、一眼レフをラインナップに持たないカシオ計算機<6952>はカメラを今後の成長事業と位置づけているが、足元では海外で出した新製品が苦戦中。新興国向け低価格モデルを出して成功している富士フイルムホールディングス<4901>のように、生き残りには思い切った方針転換が必要だろう。

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