「テレワーク急増」で浮上する意外な落とし穴 マイクロソフト相談窓口に問い合わせが殺到

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マイクロソフトは日々増え続けるニーズに動画データの圧縮効率を上げるという正面突破だけではなく、もっと現実的な使い勝手にも目を向けるようになったという。

以前とは異なるニーズが急浮上したからだ。

Zoomで人気のある“バーチャル背景”は、グリーンバックを背負わなくても任意の写真や動画を背景として合成できる機能だが、マイクロソフトやシステシステムズなど企業向けソリューションでは取り入れられていなかった。

しかし、自宅のプライバシー保護の目的もあってニーズが高まり、マイクロソフトは4月中にもTeamsに実装、提供するべく開発を行っているという。

また、オンライン会議はコンピューターのツールで簡単に予定を入れることができるため、隙間なくオンライン会議が詰め込まれることが頻発する。

本来ならばミーティング場所を移動する時間や、オフィスの中を歩くわずかな時間など、細かく「心と身体をリセット」するタイミングがあったが、自宅の机の前に張り付いてオンライン会議ばかりしていると、ちょっとしたコーヒーブレイクはもちろん、食事さえままならなくなる。

そこで会議中にうっかりマイクをオンにしたまま食事をしても、その音を判別して自動的にミュートする機能を実装する予定だという。

「とにかくニーズの変化が激しいため、開発のスピードを上げています。Teamsは仕事に必要な機能を強化してきましたが、コロナ禍の中にあってはオンラインコミュニケーションが生活の一部になってきます。どう日常の生活と仕事のオンオフをうまく切り分けるかが求められるようになってきました」

そう話したのは日本マイクロソフトMicrosoft 365ビジネス本部の藤本浩司氏だ。

テレワークで見直されるセキュリティーポリシー

一方、ワークスタイルや社内のITインフラという面で見ても、急激な環境の変化に対応し、ルールを見直さねばならない例も出てきているという。

例えば多くの企業には、社外から業務用のコンピューターを使う際、VPN(仮想プライベートネットワーク)を通じて作業しなければならないなどのルールが設定されている場合がある。

ところが、大多数の社員がVPNで接続することなど想定されていない。このため、VPNの接続数や帯域に縛られて、円滑な業務が行えなくなってしまう。

こうしたルール設定は、あらゆるアプリケーションに対して単一の基準でセキュリティーを確保するためには簡単な方法だが、使う道具によっては“無駄”も多い。

オンライン会議システムが典型的で、会議に接続する端末間で暗号化が行われているため、会議参加者のマッチングや参加承認などの仕組みが安全であれば、VPNを通す必要はない。むしろ帯域を多く必要とするオンライン会議の通信トラフィックをVPNに流すべきではない。

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