日本の金融政策偏重に副作用リスクあり

米コーネル大プラサド教授に聞く

3月31日、米コーネル大学教授のエスワル・プラサド氏はロイターのインタビューで、日銀の金融政策は日本経済に最大限の貢献をしていると評価する一方、日本経済を停滞から救うには金融政策だけでは十分でないと指摘した。写真は記者会見する安倍首相。20日撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 31日 ロイター] -米コーネル大学教授のエスワル・プラサド氏はロイターのインタビューで日銀の金融政策は日本経済に最大限の貢献をしていると評価する一方で、日本経済を停滞から救うには金融政策だけでは十分でないと指摘。金融政策だけですべての負荷を支えようとした場合は副作用が効果を上回るリスクがあるとし、構造改革などの施策が進まなければ、追加緩和をしても効果は減殺されると語った。

インタビューの詳細は以下の通り。

──これまでの日銀の量的・質的金融緩和(QQE)についての評価は。

「日本経済が置かれた困難な状況や他の政策からの支援がほとんど得られない状況を考えれば、日銀は与えられた任務に前向きに取り組み、経済に対して期待され得る最大限の貢献をしている」

「保守的な政策運営を続けてきた日銀の歴史からみれば、黒田総裁のとった措置は非常に大胆なものだ。市場に政策意図についてのシグナルを与えるという点においても、実際にとった手段においても、黒田総裁は非常に果断だ。中央銀行にとっては、政策意図を明確に市場に伝えるだけではなく、その政策についてある種の確約を与えることが非常に重要だ。黒田総裁はどちらも行った」

「日銀の意図を非常に明確化し、コミットメントの実施に向けて力強いスタートを切った。市場の当初の反応は過剰ともいえるくらい楽観的なものだった」

──今後は。

「しかし、徐々に現実が明らかになってきている。実際のところ、金融政策だけでは日本経済を10年におよぶ停滞から救うことは不可能というのが現実だ。他の政策からの支援も必要だ」

「黒田総裁は過去の金融政策が十分でなかった可能性について正しく認識している。そのため、金融政策を限界まで推し進めるつもりだ。ただ日銀の政策のみで問題を解決しようとするあまり、短期的だけでなく長期的にも日銀は様々なリスクを引き起こしているのではないだろうか。これは日銀だけでなく、他の先進国や新興国の中央銀行の多くが抱える問題でもある」

「やがては金融政策以外の政策も導入されていくだろう、というのが金融緩和を続けるあらゆる中央銀行が抱く期待だが、その通りにはなっていない。第二の矢、つまり財政政策は若干の助けにはなったが、期待されたほどの効果は出ていない。すでに巨額の財政赤字を抱えていることを考えれば制約は大きい。しかし、より大きな失望は構造改革の進ちょくにおいてだ。財政・金融といったマクロ政策は経済安定化のための政策ではあるが、構造改革を伴わなければ長期的な成長を実現することはできない。この点において安倍首相は口での約束に思ったほど行動が伴っておらず、市場、投資家、家計の失望を招いている」

「金融政策が効果を持つには、他の政策も建設的な役割を果たす必要がある。金融政策だけではすべての負荷を支えることはできない。金融政策がすべての負荷を支えようとすれば、政策の効果と副作用のバランスが崩れ、副作用が効果を上回ることになりかねない」

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