楽天のカルチャーは「お寺」に似ている?

楽天・三木谷社長ロングインタビュー(その4)

 2010年の英語公用語化スタートから4年。楽天のグローバル戦略が一段と加速している。ここ数年、電子書籍のkobo(コボ)、ビデオストリーミングサービスのViki(ヴィキ)、動画コンテンツ配信サイトのShowTimeなど、次々と国内外で企業を買収。今年2月には、無料通話・メッセージサービス「Viber」を手掛けるキプロスのバイバー・メディアを9億ドルで買収した。
 楽天は世界でどう戦おうとしているのか? 英語公用語化で会社はどう変わったのか。そして、どうすれば日本企業はより多くのイノベーションを起こせるのか。バイバー買収の背景から今後の世界戦略、そして、スタートアップへの思いから若者へのメッセージまで、ロングインタビューで三木谷浩史社長に話を聞いた〈全4回〉。

その1:三木谷さん、楽天は世界で勝てますか?

その2:楽天の「英語公用語化」は、ヤバいです

その3:日本のスタートアップ業界に欠けているもの

起業家に勲章をあげたらどうか

――日本のスタートアップが盛り上がるためには、制度面も大切ですが、いちばん大事なのはマインドセットのところです。

楽天はまだ創業から17年目ですけど、「楽天は特別である」みたいになってしまっている。われわれの心の中では、楽天はベンチャーのカテゴリーにあるのですが、一般的には、そうではないのだと思うんですよ。

ただ、楽天で成功したり、訓練したりした人たちが、会社を起こすというトレンドも生まれつつあるので、それはそれでいいのかなと思っています。

――特に楽天球団のOBは、どんどん起業しています。転職・求人情報サイト「ビズリーチ」の南壮一郎さんしかり、宅配弁当の総合サイトを手掛けるスターフェスティバルの岸田祐介さんしかり。

あれもいいエクスペリエンスだったんじゃないですか。

――1回立ち上げると、起業の連鎖が起きていく。

そうですね。あとは、先ほど話したフランスのレジオン・ドヌール勲章もそうですけど、私が総理に申し上げているのは、「起業家にも勲章のひとつくらいあげたらどうですか」ということです。これから国に貢献してくれるであろう人たちに勲章を渡していく。スタートアップを応援していくという象徴的なことを、国としてやってほしいと思っています。

新経済連盟も今年から「イノベーション大賞」を始めて、ノーベル賞ほどおカネは出しませんが、それなりの賞金もつけて、日本で最もイノベーティブなことをやった人を表彰していきます。第1回目は、今年の夏に発表します。

――スタートアップの盛り上がりを、スタートアップ界隈の人間だけでなく、より広い世論、特に大企業の人たちに伝えて行くことが重要です。そうでないと、日本全体の底上げにはつながらない気がします。

大企業からまったくイノベーションが生まれないわけではないと思いますが、リスクとリワード(報酬)が合わない部分がある。アメリカでも成功しているインターネットベンチャーは、たぶん全体の数%だと思うのです。IPO(株式公開)して、それなりのバリュエーションがついた企業は、1000件に1件ぐらいでしょう。

ただ、アメリカには、そうした企業を称賛する仕組みがあったり、バイアウト(事業売却)という仕組みがあったりする。リスクばかりに注目するのではなくて、成功する夢をもう少し持ってもらえるような仕掛けが、日本にもあればいいですね。

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