首都封鎖の可能性浮上でよみがえる「小池劇場」 五輪延期で7月の「知事再選」はほぼ確実に

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その一方で、都知事再選を狙って長年の盟友とされる自民党の二階俊博幹事長と意を通じることで、反小池で固まっていた自民党都連との水面下での手打ち工作も進めてきた。それを一気に進展させたのが、3月24日に国際オリンピック委員会(IOC)が決定した五輪の1年延期だった。

都知事選で小池氏の対抗馬擁立を模索してきた自民党都連は、五輪延期決定の翌25日に行われた都議会予算特別委員会で、知事提出の2020年度当初予算案に賛成し、従来の対決姿勢を転換した。それと同時に「予算に賛成したのに、選挙で対立はできない」(幹部)と知事選での対立候補擁立も断念した。

「五輪準備で安倍首相や森氏と連携する小池氏の再選を邪魔すれば、自民都連が都民から非難される」(同)との判断からで、予算案への賛成は知事選で小池氏を支援する地ならしとみられている。

都知事選は事実上の無風状態に

ただ、小池氏の爆弾発言がインターネットなどで都民の間で一気に拡散し、25日夜からスーパーやコンビニでの食品などの買い占めによる大混乱を招いた。26日の東京株式市場も首都封鎖による経済危機への不安から急落。関係者の間では「百合子ショック」との言葉も飛び交った。

26日には、東京を中心に巨大な首都圏を構成する神奈川、千葉、埼玉、山梨各県も小池氏に呼応する形で、各県知事が「都内への通勤自粛や週末の外出自粛」を呼び掛けた。これを踏まえて小池氏は同日夜に4県知事とのテレビ会議を行い、都知事を中心とした緊密連携を確認するなど指導力をアピールした。

小池氏が圧倒的優位となった都知事選では、立憲民主党など主要野党が有力な対立候補擁立を目指している。しかし、「小池氏に勝てる候補はいない」(国民民主幹部)のが実情で、「結果的に事実上の無風選挙で小池氏が再選となる可能性が大きい」(自民都連)との見方が広がる。

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