第4回 無用なケンカを回避するこんな方法

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これまで3回に渡り、スポーツやSNSを例に挙げてアンガーマネジメントの効果を説明してきた。普段の人間関係においてもアンガーマネジメントは大切だ。特に身近な人、恋人や伴侶に対してもアンガーマネジメントを有効活用したい。
 悪気は全くなかったのだが、どうやらパートナーの逆鱗に触れる一言を言ってしまったようで、不毛な罵り合いに発展……。アンガーマネジメントの習得で、ケンカ知らずの円満カップルになろう!

些細なミスで怒り爆発 

アンガーマネジメントを何のために行い、どんな効果が期待できるのかを簡単に知ってもらうため、人間の「心」を「コップ」に例えてみよう。イライラの増幅によって、コップに水が注がれていく状況の変化をイメージしてほしい。
 まず、穏やかな心理状態のときは、コップに水がまったく溜まっていない。しかし、ときとしてこうなることがある。

① ある日、仕事を終えようとすると、急に無理な残業を頼まれてイラっとしたことで、コップの水かさが少し増した。
 ↓
②翌朝は、出掛けに妻がつまらない小言を言ってくる。「出勤前なのにうるさいなあー、もういい加減にしてくれよ」と、あなたのイライラは募り、心のコップの水かさがさらに増した。
 ↓
③通勤電車に乗ると超満員。そんな中、大音量でヘッドホンステレオを聴いている若者から足を強く踏まれた。しかし、その若者は全く謝ろうとせずに素知らぬ顔。「謝ったらどうだ!」と言葉にしたい気持ちを周囲の目もあるのでグッとこらえる。前夜からの3つの不愉快な出来事で、心のコップの水かさはもう満タンの状態である。
 かなりの興奮状態で会社に到着。自分のデスクにつくと、部下が業務報告書を提出してきた。 
 ↓
④報告書の内容に些細なミスを発見。そこであなたの怒りが爆発。「おいっ、なんだこの報告書は!」と、あなたは部下を怒鳴りつけた。コップから水が溢れ出したのである。

ミスをした部下を指導することは当然のことだが、先輩の気分や機嫌で指導法が変わるのはよろしくない。
 部下から報告書を受けた際、前夜からの3つの不愉快な出来事を心の中に溜め込んでいなかったならば、あなたは部下を怒鳴りつけることはなかったかもしれない。
 アンガーマネジメントを体得することで、他者に気分や機嫌で対応することが減り、他者を傷つけることが少なくなる。
 また、「そんなつもりじゃなかった」「あんな風に言わなければよかった」などと後悔したり、自己嫌悪に陥ることを防ぐ。
 アンガーマネジメントは、人間関係の潤滑油となり、私たちの精神衛生の安定に大きく寄与するのだ。

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