副作用が効果上回るなら、妥当でない

木内日銀委員、国債買入額の倍増で注文

3月19日、日銀の木内登英審議委員は19日、滋賀県金融経済懇談会後の記者会見で、経済・物価が下振れた場合の追加緩和対応について、正当化されるのはよほど大きなショックが生じた場合だとし、ハードルは高いと語った。都内で昨年5月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[大津市 19日 ロイター] - 日銀の木内登英審議委員は19日、滋賀県金融経済懇談会後の記者会見で、経済・物価が下振れた場合の追加緩和について、正当化されるのはよほど大きなショックが生じた場合だとし、ハードルは高いと語った。

追加策として現在の国債買入額を倍増させることについては、技術的には可能であり効果があるかもしれないが、副作用が効果を上回るなら妥当ではないと述べた。

日銀が掲げる2%の物価目標に関連し、現在の日本経済の実力に見合った物価水準は、1%─1%強程度との見方を示した。

<追加緩和はハードル高い、前回効果は期待できず>

昨年4月に導入した異次元緩和は大規模な国債買入が柱になっており、日銀は保有額を年間50兆円増加させるペースで買い続けている。追加緩和の具体策として、その額を100兆円に倍増する方法について見解を問われた木内委員は、「長期国債の買い入れを2倍にすることは技術的にはできるかもしれず、その結果として追加の効果もあるかもしれない」としたが、副作用が効果を上回るのであれば「妥当ではない」と語った。

さらに現在の国債買い入れは保有残高の増加による緩和効果を重視しており、「(国債を)買い続けている限り、追加の緩和効果が出ている」との認識を示した。

木内委員は午前の講演で、追加緩和を実施した場合、副作用が効果を上回って「経済の安定を損ねてしまうリスクを強く意識している」と発言。会見でも「追加緩和が正当化されるようなイベントは、よほどの大きなショックだ。(追加緩和の)ハードルは高い」と強調した。

追加緩和を実施しても、昨年4月に異次元緩和を導入した時のような効果を「期待するのは難しい」とし、効果が副作用を上回るような追加策について「選択の余地は小さい」と述べ、あらためて否定的な考えを示した。

もっとも、金融システムに不安が生じるなどのケースでは、一時的に大量に資金供給を行うことはできるとし、「そうした局面では実施すべきだ」と語った。

<現在の実力に見合った物価水準、1─1%強>

木内委員は午前の講演で、2%の物価安定目標について、将来的には2%という水準を「再検討する余地もある」と目標見直しの可能性に言及した。

この点について会見で適正水準を問われたが、「中長期的な物価水準は経済の実力で決定される。望ましい物価水準は日銀ではなく、経済で決まる」と指摘。その上で、各種のアンケート調査や市場に織り込まれている中長期のインフレ予想などを踏まえて「現状では、2%は高い。おおむね1%から1%強程度が実力に見合った物価安定の状況だ」と述べる一方、「政府の成長戦略の効果や企業、家計の努力によって経済効率が高まれば、水準は上がってくる」とも語った。

また、目標水準に幅を持たせるレンジの考え方を採用することについては「物価安定目標達成の考え方とは相容れない」との認識を示した。

消費増税の影響収束、「すごく時間かかる」

4月の消費税率引き上げが景気に与える影響では「経済の基調を変えるインパクトはない」としながらも、経済指標のかく乱要因と指摘。その影響は「何年も先までの消費を前倒している人もおり、経済が増税の影響を受けない姿を取り戻すにはすごく時間がかかる」と述べ、「7─9月期の成長率を見れば、消費税後の経済の基調がわかるというのは早過ぎる」と影響を見極めるには相当の時間を要するとの見方を示した。

その上で、消費増税後の日本経済にとって、増税の影響を直接的には受けない輸出の動向が重要と強調。同時に「残念ながら今の輸出の状況は弱さが目立つ」と付言した。

(伊藤純夫 編集:田中志保)

 

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