JR東、新幹線「eチケット」で使い勝手よくなるか モバイルSuica特急券に代わり3月スタート

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JR東日本は2019年11月30日、スマートフォン向けの「えきねっとアプリ」をリリースした。

現状では在来線特急のチケットレスサービスに特化したアプリであるが、同社公式サイトのえきねっとアプリの案内欄には「新幹線eチケットサービスは、3月中旬頃対応予定です」と書かれている。アプリが新幹線に対応すれば、eチケットサービスとの組み合わせでより簡単に予約ができるようになり、利便性の高いものとなるだろう。

東海道・山陽新幹線の「エクスプレス予約」「スマートEX」が提供する「EXアプリ」は使いやすいという評価を受けており、現在の「えきねっとアプリ」もWebサイトに比べれば使いやすいため、その流れを受けたスタイルとなることが予想される。

チケットレス強化は続く

モバイルSuicaもハードルは低くなってきた。iPhoneがFeliCaを搭載するようになって普及が進み、今年2月26日からは年会費も無料になる(iPhoneは現在も不要)。えきねっとアプリが新幹線に対応すれば、モバイルSuicaを利用している人は、スマートフォン1台で新幹線の予約から乗車まで完結することができる。

さまざまな施策で、チケットレス、モバイルへのシフトを強化しようとしていることがわかる。

自動改札機は、磁気券を通すタイプだとメンテナンスをしなくてはならない箇所も多い。ICカードによるチケットレスサービスが普及すれば、切符を通す部分のないIC専用改札機に順次切り替えることで、改札機のメンテナンスを簡素化できる、というもくろみもあるだろう。

また、航空などほかの交通機関でネット予約が当たり前となっている中、簡単に利用できるチケットレスサービスを導入して利便性を高めることは重要だ。そういった状況下で「北へ向かう新幹線」が、東海道・山陽新幹線と同様に交通系ICカードを使うことによってチケットレス化を推進したいという考えになるのは当然のことだろう。

新幹線のチケットレスサービスは、2022年春に九州新幹線でも「エクスプレス予約」「スマートEX」が使用できるようになる。東京駅から「西へ向かう新幹線」も「北へ向かう新幹線」も、チケットレスサービスを強化していく。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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