病気ではない、特性をもっているだけだ--『アスペルガー症候群』を書いた岡田尊司氏(精神科医)に聞く

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--「困った人」が社内を闊歩されても、まさに困ります。

特に働きざかりの人で、人付き合いがしにくいなと本人も周りも感じ、だけど何とかやってきているというケースは結構ある。そういう人たちに、自分の問題に気づいていただき、あるいは周りの人にも気づいてもらって、できるだけその人を生かす方向にもっていくという視点を持ってほしい。特に管理職にお願いをしたい。

管理職が、こいつは能力あるのに扱いづらいなという場合は結構ある。それも扱い方を間違うと、こういうタイプは本当に潰れてしまったり、パッと辞めてしまったりする。こうなると、せっかく見所があるのに職場で生かせないで終わる。

このタイプの人は、自分の仕事については一家言を持っていて、自分のスタイルをはっきり打ち出してくる。だから、あるつぼにはまるとものすごく能力を発揮するが、ちょっと違うようなもってこられ方をすると、こだわりがあるので上手に妥協ができない。

そのもってこられ方の気にくわないところにこだわってしまって、うまく仕事をやっていけないということも起きやすい。そういう扱いづらさ、付き合いづらさがあることも知れば、お互いいいかかわり方ができる。

社会生活を伸び伸びとやっていれば、病気ではない。ある特性を持っているだけといえる。「駿馬」ほど扱い方は難しいと思ったほうがいい。しかも駄馬と同じようにやらせたら、すぐに駄目になってしまう駿馬でもある。

(聞き手:塚田紀史 撮影:ヒラオカスタジオ =週刊東洋経済)

おかだ・たかし
1960年香川県生まれ。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事。医学博士。現在、京都医療少年院勤務。パーソナリティ障害、発達障害治療の臨床医として活動。小説家・小笠原慧として『DZ』(横溝正史賞)など。


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