日本株急落の裏に「買い手不在」の構図

先物主導で一段の下振れも

3月12日、日本株急落を主導したのは海外勢主体の短期筋の先物売りだが、その裏には「買い手不在」の構図が浮かび上がる。写真は都内の株価ボード。2008年10月撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 12日 ロイター] -日本株急落を主導したのは海外勢主体の短期筋の先物売りだが、その裏には「買い手不在」の構図が浮かび上がる。

不透明感の強まる中国経済の影響を受けるのは日本経済だけではないが、安倍晋三政権の成長戦略が期待ほど進まないなか、海外年金など中長期投資家の手控え姿勢が強まっているという。空売りの買い戻し余力も低下するなか、先物主導による一段の下振れが警戒されている。

12日の日経平均<.N225>は今年3番目の下げ幅となった。日経平均は前日比で393円安、終値で5営業日ぶりの1万5000円割れ。東証33業種すべてが値下がりし、東証1部では9割超となる1667銘柄が下落する全面安となった。

11日のロンドン金属取引所(LME)での銅先物価格の下落を受けて、中国企業のデフォルト(債務不履行)問題が広がる可能性が指摘され、株売りにつながったという。

売り主体は海外ヘッジファンドなど先物を操る短期筋との見方が大勢だ。日経平均先物の日中取引の売買高は9万9686枚と膨らみ、日経平均が610円安と急落した2月4日の13万0680枚に次ぐ高水準となった。先物売りが裁定取引を誘い、ファーストリテ<9983.T>など指数寄与度の大きい銘柄の下げが目立った。

海外年金勢など様子見に

ただ、前日の米S&P総合500種<.SPX>は0.51%の下落。中国の上海総合指数<.SSEC>は一時1.3%安となったが、引け値では0.17%安まで値を戻しており、日経平均の2.59%安との差は歴然だ。

東京市場は週末14日にメジャーSQ(特別清算指数)算出日を控える特殊要因があるものの、日本株の大幅な下げに対し、市場では「気持ち悪い下げ」(大手証券)と違和感を持つ声が上がった。

中国不安などの不透明な外部要因がある一方、国内には進展の兆しがみえない安倍政権の成長戦略など独自のネガティブ要因も存在し、海外勢が日本株を手控える一因となっている。「3月に入ってから海外年金など中長期の投資家からの注文件数が激減している。日本株を売るわけではないが、買わずに様子見を強めている印象だ」(米系証券トレーダー)という。

買い手不在の状況は商いの乏しさに表れる。12日の東証1部の売買代金は前日比12%増加したが、1兆9019億円と低水準にとどまった。3月に入って、活況の目安とされる2兆円を上回ったのは2営業日しかない。国内機関投資家の動きも観測されず、現物市場が先物市場に振り回されている格好だ。

また、東京証券取引所が公表している空売り比率の5日平均をみると、3月11日時点で29.73%となり、今年1月23日以来、約1カ月半ぶりに30%を下回った。現物市場での売り方の買い戻し余力も低下している。

日経平均1万5000円割れの水準では、割安感や日銀の追加緩和期待などが下支えするとみられているが、薄商いが続けば、先物主導で振らされる相場が続く可能性は大きい。

松井証券・シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「個人投資家はソフトバンク<9984.T>やトヨタ自動車<7203.T>など主力大型株の一角に買い向かっているが、海外勢が様子見を決め込む中で、日本株を買い支える余力が低下している。中国問題は根が深く、短期的には下押しする可能性が懸念される」と述べている。

(杉山容俊 編集:伊賀大記)

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