「新型肺炎」の深刻な感染拡大がもたらす悪夢 感染予防に努めても世界的影響は計り知れない

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その前にまず、国内でも確認されたヒトからヒトへの感染はどのようにしておきるのか、その基本的なプロセスを確認しておく。

SARSにせよ、今回の新型肺炎にせよ、コロナウイルスは、「飛沫感染」する。

感染者がくしゃみや咳などによって飛び散る飛沫、すなわち唾や鼻水などの中にウイルスが存在して、一緒に放出される。これを別のヒトが、口や鼻から吸い込む、あるいは目などの粘膜から取り込むことによって感染する。

また、飛沫と一緒に放出されたウイルスは、テーブルや手すりなどにも付着する。放っておけば、やがては死滅するが、その前に別のヒトの手がそこに触れて、その手で口や鼻、目などを触れれば、感染する。

もちろん、感染者が鼻水などのウイルスに触れた手で他の家具やドアノブなどに触れば、そこにウイルスは付着することになる。これが接触感染とされるもので、たとえば結核のように空気中に漂って感染する空気感染とは違うところだ。

いわゆる「濃厚接触」といえば、いっしょに会話をしたり、食事をすれば、それだけ相手の飛沫を取り込む距離は近づくことになるし、同じ空間で生活を共にすれば、家財に触れた手から手へウイルスが伝搬することになる。

感染防止のためにヒトの移動が制限された

日本で感染が認められたバスの運転手やガイドは、バスの車内の手すりなどの内装に触れて感染した可能性が高いとされる。

これを前提に考えると、通勤通学のラッシュ時における満員電車ほど、他人とのより濃密な「濃厚接触」の場面はない。マスクをしていても、車内で「危険ですから、つり革、手すりにおつかまりください」というアナウンスが流れるように、そこからだって感染する。それどころか、マスクを外す際に処理の方法を間違えれば、外側に付着したウイルスに触れた手から感染することだってある。

そうすると、SARS感染対策がそうであったように、できる限り人混みは避けて、自宅などで待機していたほうがよいことになる。また、感染防止を考える施政側からすれば、ヒトの移動を制限することになる。

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