「英語力」は入社後の環境と努力で何とでもなる 留学やTOEICも不要なグローバル企業の実例

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大亀:今まで英語を使った業務の中で会心のものは何ですか。

A:2019年10月にオーストラリアで大規模な太陽光発電システムを納入しました。製品の取引だけでなく、現場への設置も担当したので、大きな仕事でしたね。かなり前から仕様について細かく打ち合わせており、入社当時から比べると、格段に英語力が向上したと思いました。

次に話を聞いたのは、国内営業を担当する入社5年目のBさん。大学での専攻は生命科学だった。Bさんは自社で生産している製品と海外メーカーからの輸入製品を国内販売する業務を担っている。国内営業担当ではあるものの、海外メーカーと頻繁に英語でやり取りしなくてはならない。

Bさんも学生時代に英語の勉強に力を入れていなかったし、海外旅行すら行ったことがなかった。そもそも英弘精機がグローバル展開しているから入社したのではなく、太陽光発電などの新エネルギーに興味を持って入社したのだった。

杉森:国内営業ですが、どのような場面で英語を使いますか。

B:英弘精機は日本における販売代理店になっているので、海外メーカーとのやり取りが多いです。基本的にはメールで、製品仕様の打ち合わせをしたり、在庫の確認をしています。日本国内のお客さんの質問を英訳して海外メーカーへ提出、回答の英文を和訳するといったこともします。

松元:実際に外国人と話す会はありますか。

B:海外支社の社員も参加する社員集会では英語でプレゼンします。また、仕入先の海外メーカーの社員が来日したときは食事の時間も含めて、英語で長時間アテンドします。

最近、海外出張に初めて1人で行ってきました。ドイツに24か国、30近くの代理店やメーカーが集まり、報告や発表をしましたが、すべて英語で対応しました。英語でコミュニケーションするとはいっても、ビジネスの場合は話すテーマが明確ですし、使用する用語もある程度決まっているので、それほど困難ではありません。むしろ日常生活での会話のほうが難しいかもしれません。

明治大学政治経済学部3年の杉森奈々子さん(撮影:佐々木心)

杉森:社内の英会話クラス以外に、どのような勉強をされましたか。

B:とくに追加で勉強はしていません。英会話クラスは過去に2回受講していますが、あとは仕事をしながら覚えています。専門的な言い回しや単語に関しては、製品のマニュアルなどから習得しています。中学時代の英文法の教科書を読み返すといった感じの勉強はしていません。

杉森:これまでで大きな仕事はどのようなものですか。

B:最近ある大学の研究室に海外メーカーが製造した高機能の検査機器を販売することができました。大学に対して詳細な説明が必要だったので、海外メーカーと頻繁にメールで連絡し合い、製品仕様を詰めました。販売金額が数億円規模の大きな仕事でした。

英語は業務を通じて覚えるのが一番

最後に話を聞いたのは開発担当のCさん。入社6年目で前出のAさんと同期入社だ。大学生時代は農学部に所属し、気象計測機器を利用していたことから、英弘精機になじみがあったという。大学院では理学部へ進み、現在は気象計測機器の開発部門に所属している。新製品の開発や試作機の評価が主な業務である。Cさんも入社するまでは海外に行ったことがなく、とくに英語の勉強に力を入れた経験もなかった。

松元:開発だとあまり英語を使うイメージがないのですが、実際業務で使うことはあるのですか。

C:弊社の製品の多くは海外向けなので英語は必要です。海外支社との連絡は英文メールですが、会話が行き詰まった際や緊急事態が発生した際には、スカイプを使用して英語でやり取りします。

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