ファーストリテ、東京市場への影響は限定的

香港上場のメリットはどのくらい?

3月5日、ファーストリテイリングの香港預託証券(HDR)の香港証券取引所への上場は、メーン市場が東京証券取引所にあるなかで、HDRの流動性は低く、株式投資や取引面では、従来と大きな変化は予想されていない。都内の本社で2012年10月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 5日 ロイター] -ファーストリテイリング<9983.T>の香港預託証券(HDR)<6288.HK>の香港証券取引所への上場は、中華圏(中国・香港・台湾)でのビジネスにコミットメントするという面で事業拡大にはメリットがあるとみられている。

一方、メーン市場が東京証券取引所にあるなかで、HDRの流動性は低く、株式投資や取引面では、従来と大きな変化は予想されていない。

両市場の上場で、ファーストリテ株の値動きに影響を及ぼすことはないのか―――。ある国内証券関係者は「香港市場では値幅制限がないため、東京市場でファーストリテ株がストップ高やストップ安となった場合、HDRに売買が向かう可能性はある」と指摘する。ただ、HDRの売買手数料は東京市場での手数料よりも高いと推測され「流動性が低いことも考慮すると、HDRが主導して東京市場に影響を及ぼすことは考えにくい」とみる。

5日終値時点での売買代金は、東京市場が318億円に対し、香港市場は16億円となっている。米高級ブランドのコーチ<6388.HK>は、ファーストリテに先立って2011年にHDRを上場しているが、5日の売買は最低単位の100株にとどまっている。

日本における上場企業として初めて香港証券取引所メーンボード市場にセカンダリー上場したSBIホールディングス<8473.T>は、4日の臨時取締役会でHDRの上場廃止を決議した。取引所の承認が得られれば、6月25日に上場廃止になる予定。

内尾和仁執行役員は「アジア地域での知名度向上やビジネス拡大という上場当時の目的は達成された」と、上場廃止の理由を説明。2011年4月の上場からほぼ3年間、香港市場でHDRの上場をしていたことになるが「思ったより取引量は少なかった」という感想を抱いている。

国内投信関係者は「HDRは流動性が乏しく、東京市場の取引時間とほぼ変わらないため、HDRで取引をするよりは、東京市場でファーストリテ株を売買するほうが利便性が高いだろう」と話しており、東京をメーン市場としてのセカンダリー上場では、取引が乏しく、東京市場での株価形成に影響を与えるには至らないもようだ。

「審査は厳格だし、手続き上もハードルの低い市場ではない」と、SBIHDの内尾氏は話す。それでも、時間や人的労力も含めて経営資源を投入し、香港市場での上場を行うのは「アジアにコミットしていくという会社の意思がなければ、そういうジャッジにはならない」という。上場後の費用は、取引所へ納める費用のほか、現地での開示資料作りや弁護士費用など含め「年間1億円強かかった」という。

岡崎健CFOは1月に行った上場発表時の記者会見で「東南アジアは海外市場の中核となる地域であり、上場によりブランド認知度をより一層高め、地域に浸透していくことで、事業展開のさらなる加速を目指して行きたい」と、上場理由を説明している。今回の上場では、資金調達は行わない。

ファーストリテの初値は28.60香港ドルで、参考価格から4.5%の上昇となった。1HDRは東京市場の株価の100分の1で、4日終値の3万5890円から算出された参考価格は27.36香港ドル。

ファーストリテのHDR価格は、薄商いの中で一時31%高の36香港ドルまで上昇したが、その後急速に上げ幅を縮め、初値付近で推移。一方、東京市場での終値3万6975円をもとに比較すると、香港市場の株価は午後4時20分時点で4.7%割高水準で取引されている。

*香港市場と東京市場の株価比較は、1香港ドル=13.17円として計算しました。

(清水律子 取材協力:杉山容俊、梅川崇 編集:宮崎大)

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