ストレス下における邦銀の信用損失額の推計方法 《ムーディーズの業界分析》


金融機関グループ
AVP -アナリスト 梶 恭輔

 ムーディーズは、同社のマクロ経済の見通し(2009年の日本のGDPは5%から6%の縮小、10年はゼロ%から1%の成長を想定) を踏まえ、日本経済は09年1~3月期に底を打ったという見解を表明している。一部の経済指標が、日本経済の緩やかな回復を示し始めており、資本市場は信用力が高い発行体にとっては正常な機能を回復しつつある。このようなマクロ経済環境は、邦銀の格付けの安定に寄与するであろう。なお、09年4~6月期の業績が7月下旬以降、開示されているが、格付け対象銀行に関していえば、おおむね想定の範囲内のものであり、ネガティブなサプライズはなかった。

しかし、こうした事象はこれまでの急激な下方への調整からの回復を示すものであるというだけで、マクロ要因の再調整に関連した経済の下振れリスクはまだ残るとみている。

証券化商品についていえば、多額の損失を発生させている海外組成の証券化商品を大量に保有している格付け対象邦銀は限定的である。そしてその大宗は、自己資本で多額の評価損(=その他有価証券評価差額金のマイナス額)を抱え続けている特定の金融機関を除けば、09年3月期までに損失処理されている。今後も多少の追加損失の発生が考えられるが、格付け対象邦銀については、おのおのの格付けを左右するだけの損失が今後発生することは想定していない。

こうした状況を踏まえ、今回はムーディーズの「ストレス下における邦銀の信用損失額の推計方法」を取り上げ、特に邦銀に対するストレステストの適用手法について解説したい。本稿は、ムーディーズの既刊のレポート(「各銀行の信用損失額の推定に対するムーディーズのアプローチと、それが銀行財務格付けへ与える影響について〈2009年6月〉」)にて紹介された、ムーディーズのストレステストに対する考え方を踏まえたものである。

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