人民元下落、投資家が数千億円損失の懸念

仕組み商品による、デリバティブのリスクが急拡大

2月28日、人民元が10営業日にわたり下落し、オフショアのデリバティブ(金融派生商品)の損失リスクが高まっている。安徽省で2011年2月撮影(2014年 ロイター)

[香港 28日 ロイター] -人民元が10営業日にわたり下落し、オフショアのデリバティブ(金融派生商品)の損失リスクが高まっている。このまま元が下げ続ければ、投資家は数十億ドル(数千億円)もの損失を抱える可能性がでてきた。

問題のデリバティブは、ターゲット・リデンプション・フォワードと呼ばれる投資商品。当初は、中国企業が保有する外貨をヘッジ(損失回避)するための商品という位置付けだったが、やがて、元が急落しなければ、安定的なリターンが得られる投資商品として人気化した。ドイツ銀行の試算では、主にドル債権を持つ中国企業に今年だけで1000億ドル販売された。

問題は、このデリバティブを購入した投資家が元安に対するヘッジをしていないことだ。アナリストは、追加保証金支払い義務(追い証)の発生を懸念する。

銀行筋によると、中国国家外為管理局(SAFE)は、元安が国内の銀行・企業の為替取引に及ぼす影響を調査している。

市場関係者によると、追い証が発生するオフショア市場での元の対ドル相場は6.20元。オフショア人民元(CNH)はここ1週間で1.6%下落し、6カ月ぶり安値となる6.13元付近となった。

28日の上海外為市場(オンショア)の人民元は10カ月ぶり安値の6.1806元をつけた。17日の終値6.0641元から大幅に下げている。

1カ月物のインプライドボラティリティ(予想変動率)は過去最高の3.8%寸前で、2013年の水準のほぼ倍になっている。

HSBC(香港)のシニア為替ストラテジスト、JuWang氏は「CNH市場は今後、一段と変動が激しくなり、それが為替市場改革が行われるなかで新たな標準になりそうだ」と述べた。

1ドル=6.20元が節目

ドイツ銀行やモルガン・スタンレーの試算によると、元の仕組み商品は2013年初めからこれまでに約3500億ドル販売された。

モルガン・スタンレーは、1ドル=6.20元を超える元安となった場合、1カ月あたりの損失は2億ドルに上るとみている。

人民元は2010年以降、毎年上昇しており、今年も2─3%上昇するとの見方から元の仕組み商品も急成長してきた。しかし、ここにきて元は下落基調。そこには人民銀行(中央銀行)が為替改革の準備として、元を上下動させる意図が透けて見える。

トレーダーは、節目を超えて元安が進めば、デリバティブの損失が膨らみ、デフォルトが発生する恐れがあると指摘する。

香港の欧州系銀行の為替トレーディング部門責任者は「1ドル=6.20元をブレークすれば、オフショア市場に打撃」と話した。

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