REIT復活のカギ握る公募増資とM&Aの成否、官民ファンド効果はほぼ出尽くし《特集・不動産/建設》

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 9月5日に鳴り物入りで設立された「不動産安定化ファンド」(通称、官民ファンド)。リーマンショック以降、ニューシティ・レジデンス投資法人の破綻などREITの資金繰りが逼迫したことを受け、主に投資法人債(REITの社債に相当)の償還資金を融通する目的で作られた。融資枠は3年間で最大5000億円という。

ファンドには大手不動産会社などREIT関連業界が出資し、民間の金融機関が融資する。そして、メザニン(劣後)ローンとして政府100%出資の特殊会社である日本政策投資銀行が融資するというスキームだ(下図参照)。REITや私募ファンドの業界団体である不動産証券化協会の岩沙弘道会長(三井不動産社長)は、「不動産投資市場の“出口”の役割を持つREITの機能を回復させることで、不動産市場全体が活性化する」と、その設立意義を語る。

利用候補は1~2社 「抜かずの宝刀」か

ただ、業界全体が賛成というわけではない。

「官民ファンドなんてナンセンスだ。経営が悪化したREITは、優良なところが買えばいい。潰れたって仕方がない。REITとは本来そういうもの。それなのに、こんな横道にそれたものを作ってしまった」

そう話すのは、森トラストの森章社長だ。政策的な本筋は、合併再編を促す制度環境を整えること。それさえあれば、後は市場に任せればいいとの考えだ。

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