「アベノミクス、この半年が正念場」 竹中平蔵・慶大教授が抵抗勢力の強さ強調
[東京 21日 ロイター] -政府の産業競争力会議の議員を務める竹中平蔵・慶応義塾大学教授は21日、都内で開かれた講演会で、日本経済は今大きなチャンスを迎えているが、改革を阻もうとする力も非常に強く、「アベノミクス、日本経済はこれから半年が正念場だ」と強調した。
成功には歳出削減など痛みを伴う財政再建と岩盤規制の改革、官営インフラの民間開放が不可欠との持論を展開した。
アベノミクスの今後、期待と腰折れ半々の可能性
竹中氏は個人投資家向けイベントで講演。日本株の昨年の上昇率が57%と主要国で断トツだったことを挙げ、「アベノミクスは最初の1年間それなりに成果を出した」と強調しつつも「今後も期待できるのか、それとも腰折れするのか、みなさん同様私も半々とみている」と述べた。
香港で先週開かれた投資家向けイベントで外国人投資家からアベノミクスの行く末について質問が殺到したと述べ、「外国人投資家は昨年15兆円買い越した日本株を買い増すべきか、売るべきか、真剣」と指摘、今後の政策展開に対する海外勢の評価次第で日本株が上下に大きく変動する可能性を示唆した。
国民に痛み求めていないと小泉元首相も指摘
アベノミクスの3本の矢について、第1の異次元緩和は高く評価しつつも、第2の矢である財政政策は、財政出動により景気刺激効果は出ているが、歳出削減に踏み込めていないと指摘。「小泉純一郎・元首相も『安倍首相はよくやっているが、国民に痛みを求める政策はやっていない』と話している」と述べた。
第3の矢である成長戦略については、内閣官房参与である浜田宏一・イエール大名誉教授が「成績を付けるなら『E』」と厳しく評価したのを引き合いに出した。
過去の成長戦略が必ずしも成長率の引き上げに寄与しなかったとして、打出の小槌のような政策はないと指摘。政府は民間企業の活動を支援すべく、特区を通じた岩盤規制の改革や、公共インフラの運営を民間委託するコンセッションの展開を急ぐべきとの持論を繰り返した。特に東京都には余剰不動産・施設が多数あり、東京五輪に向けた再開発のためにも売却余地が大きいと述べた。
(竹本能文 編集:山川薫)
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