レンゴーと日本製紙グループが提携解消、両社の温度差埋まらず

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レンゴーと日本製紙グループが提携解消、両社の温度差埋まらず

段ボール原紙2位、段ボール首位のレンゴーと、大日本板紙を擁し段ボール原紙3位の日本製紙グループが提携を解消した。数%とはいえ双方の株式を持ち合い、シェア27%の王子製紙を大きく上回る最強連合の出現、いずれは経営統合も、と目されたが、わずか2年で破局を迎えた。カリスマ・大坪清社長率いるレンゴーと、合併に次ぐ合併によって寄り合い所帯になっている日本製紙グループの統合は、やはり一筋縄ではいかなかったようだ。

この資本業務提携には住友商事も加わっており、提携をスタートした当初は、古紙をはじめとする資材調達から国内生産拠点の統合、住友商事を介した共同海外進出など、将来の経営統合を感じさせるプランが盛りだくさんだった。だが、実際には、古紙をはじめとする資材の共同調達と、一部エリアでの製品融通の仕組みができただけ。2年間で実現したコスト削減は、それぞれせいぜい10億円程度。年間で18億円という目標の半分にも届かなかった。新規事業については、実現に至ったものは皆無だ。

日本製紙グループの芳賀義雄社長からは、「いずれは経営統合したい」と前向きな発言があったが、レンゴーの大坪社長は「先方が変わらないと・・・」と否定的なニュアンスもあり、提携解消に至るはるか以前から温度差が感じられた。この溝を埋めるには「時間軸が違う。これ以上の進展は望めない」(日本製紙グループ)と見て、提携解消に至った。

今後は「双方にメリットがある部分については、基本的に継続する」(レンゴー)というが、この破談によって、段ボール業界で期待された大型再編は望めなくなった。段ボール業界の再編は別の道を探っていくことになるが、段ボール3位のトーモクや4位の大王製紙は独立の気風を持ち、王子を含む巨象に寄り添うとは考えにくい。しばらくは難しい状況が続きそうだ。

なお、関係各社が相互に取得した株式の扱いについては、現時点では未定としている。

(小長 洋子 =東洋経済オンライン、写真は2006年11月の提携発表会見)

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