「日本人」「アナログ」「輸出型」をねらえ!

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30代・40代が進む道

『10年後に食える仕事 食えない仕事』を読んで、30代、40代のビジネスマンはこれからどうしたらいいか悩むと思いますが、何かアドバイスを。

この本の中に書いてあるように、「日本人メリット」のほうに進むのがいいですね。本当に食いっぱぐれそうになったら、日本人向けの営業に就くことです。日本人は高価なもの、資産になるものは、外国人でなく日本人から買いたいので、その領域は外国人は劣勢で、彼らは入ってきませんから。
   営業に向いてない人はつらいですが、向いている人はそこでやっていけば一生食いっぱぐれません。住宅の営業でも、保険営業でも、車の営業でも、いろんな営業職があります。勤めている会社がある日突然、中国資本になっても、お客さんが日本人である限り、絶対その営業という仕事に価値が出てくるのです。

そのためにも、この本を役立たせることができますね。

そうですね。グローバル化という視点で、10年後の破綻した日本社会を見据えた就職をしたほうがいいでしょう。日本がこのままの延長線で続くと思ったら大間違いですからね。
   そのためには、輸出主導型の会社に入っていくというのも一つの手です。破綻すると円安になって、円安になると輸出競争力が上がります。だから輸出メーカーが破綻後の社会では一時的にものすごい好景気になるんですよ。
トヨタなどは、けっこう国内生産比率が高いので、円安になると世界的に売れるようになると思います。トヨタのように国内生産比率の高い会社はとても有利。円高がこのまま続くわけがないという視点を持つことは重要です。
   今、円高なのはヨーロッパがへこんでいるだけで、べつに日本の実力じゃありません。日本の今の財政とか、政治を見ていると、この円高というのはたぶん最後の円高で、このまま続くわけはないという考えを持って、10年後を考えた就職、転職をすることが大切です。

今後の日本企業の目指すところは、どの方向でしょう?

やっぱりモノづくりです。どんな世界になっても食えると思います。ただ、デジタル分野では世界に負けてしまいますから、アナログ製品を作っていくことだと思います。
   いちばんいい例は、オリンパスのような会社です。オリンパスの内視鏡づくりは、現場の工場の作業員に技術が蓄積されていて、絶対デジタル化で量産できません。会津のオリンパスの工場でしか作れないんですよ。それで、内視鏡のシェアが世界で7割。もうどんな状況になっても強いはずです。
   しかも円安になったらボロ儲けです。今でも利益が出ているのに、シェアが7割で、アナログだから誰もマネできない。韓国メーカーが進出してきても絶対できない。アナログで、国内で作っているメーカーって本当に最強ですよ。
   それとサービス業。たとえば、オリエンタルランドやJR東日本みたいな会社。これはどんな状況になっても、日本人が消滅しない限り盤石です。

日本全体は、今度どういうふうに舵を切っていくべきでしょう?

日本全体は、この本の最後の章に書いた政策をやらない限り、失業率がどんどん上がっていきます。日本の失業率がこんな奇跡的に低い数字に保たれているのは、たぶん今が最後で、これから失業率が下がることはあり得ないし、絶対上がっていくはずなんです。
   雇用調整助成金のおかげで、企業にいる社内失業者もまだ安泰ですが、この人たちが経済破綻でリストラされると、一気に失業率は10パーセント超えると思います。
   ですから国策として、①「無国籍ジャングル人材」の優遇、②経済的規制の撤廃、③「負の雇用貢献税」導入、③単純労働者受け入れ禁止、⑤「負の所得税」導入を行わなければ、日本は世界レベルの低賃金労働者と失業者だらけになるでしょう。

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