病院からゴディバまで、投資ファンドの最前線 プライベート・エクイティの投資額が急増

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ゴディバ、あゆみのほか、ベインキャピタルによるワークスアプリのHR部門の買収――。今年に入り、大型ディール(取引)が次々と飛び出している。

「消費業界におけるわれわれのトラックレコードが認められた」

日中韓に特化したアジア最大級の独立系PE、MBKパートナーズは今年6月、トルコの食品大手「ユルドゥズ・ホールディングス」から、プレミアムチョコレートブランドのゴディバ ジャパンなどを1000億円超とされる金額で買収した。

ゴディバの展開余地はまだある

MBKは現在、4号ファンドで国内外の大手公的年金や金融機関などから預かった約4500億円を運用している。

「注目している投資テーマはMBOやカーブアウト」と話すMBKパートナーズの加笠研一郎代表(撮影:今井康一)

MBKは日本でUSJやコメダ珈琲など、消費財・小売りなど内需関連分野に投資してきており、ゴディバは8社目。ゴディバはニューヨークに本社を置くが、工場はベルギー、ロンドンにも拠点があるなど経営資源が分散され、商品開発のスピードが落ちていたようだ。

MBKの加笠研一郎代表は「日本でもすでにチョコ以外の売り上げが増えていて、ビスケットやクッキーなどの売り上げはすでに半分近くを占めている。デパートやショッピングモールの出店の余地はあり、コンビニやスーパーなどへの卸売りチャネルの開拓も進めていく」と話す。

金融情報企業のリフィニティブによると、2018年~2019年はPEによる投資金額が膨らんでいる。大型案件が増えたことが要因で、ベインキャピタル率いるPE企業連合による東芝メモリの買収や、KKR傘下のカルソニックカンセイがマニエッティ・マレリを買収した案件が含まれる。

加笠氏は「今の環境下で注目している投資テーマはMBOやカーブアウト。コーポレートガバナンスなど、上場に不自由さを感じて非公開化を考える経営陣が増えており、PEが関与する余地が出てきている。案件も大型化している」とみる。

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