高さは地上7階分、北陸新幹線の巨大高架新駅 新北陸トンネルは貫通間近、建設現場を歩く

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傍らの北陸本線を「サンダーバード」が駆け抜けてゆく。その隣接地では界隈の高架橋を建てる中で最後となる基礎杭を打設中で、道路を挟んでもう1本の橋脚のフーチング(地中基礎)を構築する穴を掘っていた。

敦賀駅新幹線ホームは島式2面4線の幅とともに軌道面まで23mの高さとなる。写真は鉄筋を立てて高架柱を造る場面だが完成後の高さはおよそこの倍となる(撮影:杉山 慧)

これをもって敦賀駅付近の高架橋をすべて手がけることとなり、工事関係者としては「1つの山を越えた感覚」と言う。その先にまだ緑に覆われた小山があるが、トンネルを穿つ高さや距離ではないため、これから切り崩して通過させることになる。

一方、駅部のラーメン高架橋は、鉄筋むき出しに立ち上げ途上の橋脚が林立する部分、その橋脚中層部にステージを架設してコンコース階を支える横梁を施工中の部分、そして横梁からさらに倍の高さまでの柱の建設に入る部分のおおむね3通りに分かれていた。

半分の高さとは言え、足場と防護ネットに覆われた四角い構造物は視野を圧倒するビルのごとくである。高架橋建設の段階のため、ホームの形はなく、在来線・新幹線ともまだ先の話である。

山陽新幹線の岡山駅をしのぐ感覚

資材を吊り上げるクレーンはアームが天を突くように長い。ただでさえ7階分の高さがあるうえ、幅も2面4線分あるため、その全体に荷を運び届けるとなれば、おのずと長い腕が必要なのである。そのクレーンが何台も並ぶ姿は壮観だ。

敦賀駅工事は北陸新幹線各駅の中でもとりわけ規模が大きく、説明役の建設会社担当者が語ったところ、「地上の山陽本線を、瀬戸大橋線が越えるまたその上に建設された山陽新幹線岡山駅をしのぐ感覚」と言う。まさにビッグプロジェクトであったようだ。

高架橋は、この敦賀駅からさらに南へ向けて下り、敦賀駅から1kmほどの地点より先に敦賀車両基地が設けられる。北陸本線が米原に向かう進行左側に広大な敷地が整地中である。仕業検査線2線、融雪線1線、着発収容線7線などが設置され、構内の全長約1.5km、敷地面積は約9ヘクタールとなる予定である。

ちなみに県庁所在地の福井駅は、現・北陸本線とえちぜん鉄道の両高架に挟まれて島式1面2線という、新幹線駅には珍しいコンパクトな設計になった。福井駅はそうした構造ゆえコンコースのスペースを十分に確保するため、高架下から張り出し部分を設けることになっている。

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