決算は計画未達、キヤノン悩ますカメラ減速 レンズ交換式が初の台数前年割れ、14年度も停滞か

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会社側はこれまで、レンズ交換式の減速を欧州、中国の景気減速による一時的なものと説明してきた。しかし、今回の決算発表会見では「消費者の購買行動が変わってしまった。原因について解明しているところ」(田中副社長)と、見方を改めた。

海外市場の低迷とは対照的に、日本では2013年12月期のレンズ交換式の出荷台数が前年比43%増と絶好調だったが、これも「今年4月からの消費増税を見越したディーラーの先行仕入れで、2013年12月期は実需以上に実績が伸びた」(キヤノンマーケティングジャパンの柴崎洋専務)結果。反動減から、2014年12月期は日本市場向けのレンズ交換式の出荷台数も減少に転じる見込みだ。

昨年終盤の減速によって市中在庫も過剰となっていることから、キヤノンは2014年12月期もレンズ交換式の世界出荷台数を760万台とし、2013年12月期から足踏み状態が続くという見通しを立てている。

今期もデジカメが足を引っ張る

会社全体としては、2014年12月期に売上高3兆8500億円(前期比3.2%増)、営業利益3600億円(同6.7%増)と、2期連続の増収増益を見込むキヤノン。複写機やレーザープリンタなど事務機器が勢いを持続するほか、顧客の設備投資需要が復調して半導体露光装置も伸長するが、デジカメの停滞によって小幅な増収増益にとどまるという見立てだ。

レンズ交換式は、これまで2ケタ成長を続け、交換レンズを含めて非常に高い利益率でデジカメ事業の利益の大半を稼いでいた“ドル箱”だった。その減速が今、キヤノンの業績を直撃している。レンズ交換式の立て直しは、会社全体を成長軌道に戻すためにも急務となっている。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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