ノバルティス、白血病薬不正の隠せぬ証拠 医師主導臨床研究は「製薬会社主導」だった

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1月23日の記者会見で説明する二之宮義泰社長(左)、撮影:尾形文繁

世界第2位の製薬会社であるノバルティスファーマの日本法人を舞台にしたスキャンダルが大きな拡がりを見せている。臨床研究データの改ざんの疑いが持たれている高血圧症治療薬ディオバンだけでなく、慢性骨髄性白血病治療薬を用いた医師主導臨床研究でも、新たな問題が判明したのだ。

ノバルティスは1月23日に二之宮義泰社長らによる記者会見を開催。東京大学医学部附属病院の血液・腫瘍内科(黒川峰夫教授)が中心になって実施してきた医師主導臨床研究「SIGN研究」で、同社の医薬情報担当者(MR)が不適切な形で関与していた事実があったと明らかにした。

東大病院など22の医療施設が参加した同研究では、医師が慢性骨髄性白血病治療薬の副作用に関する患者へのアンケート調査を実施。副作用の軽減につながるなど医師が必要と判断した場合に、ノバルティスの従来薬グリベック(一般名イマチニブ)などから、薬価が3割近く高い同社の白血病新薬タシグナ(一般名ニロチニブ)に切り替える手順になっていた。

アンケート回収にMRが関与

ノバルティスによれば、患者に実施したアンケート内容が記載された書類を、ルールを逸脱してMRが医療施設から預かり、研究事務局を務める東大病院に運んでいた。研究参加施設を担当していたMR18人のうち8人がこうした不適切な行為に関与していたことが判明。東大病院の説明では「255例中の125例で(MRによる)関与の可能性がある」という。

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